IKUEI NEWS vol.84
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社会に引かれた政治という「線」で、心優しい世界 社会の「線」と「秩序」を探る政治学 私の専門は政治学で、主な研究テーマは3つです。1つ目は、「地方税制」における、導入せざるを得ない自治体と負担を避けたい市民の合意形成についての研究。2つ目は、国の安全保障問題が複雑に絡む「沖縄政治」の今を調査する研究。3つ目は、水インフラにおける政治的問題の解決を探る「水の政治学」の研究です。 研究がしたくて大学教員という道へ進んだので、他人に教えることを考えておらず、教員になったばかりの頃は教育に苦労しました。授業も体系的に教えようとしすぎて、つまらなくなっていたと思います。大切なのは、自分が教えたいことを教えるのではなく、学生が学びたいことに気付けるような手助けを心がけること。例えば、政治について教える時は「社会に線を引き、秩序をつくる営み」だと定義し、「道路」を例に出します。何もない地面に線を引き、矢印を配置することで、右車線、左車線、進む方向などの交通ルールがつくられていることを伝えます。同じように、我々の生活には目に見えない「線」がたくさん引かれており、そのおかげで秩序が生まれていて、これが政治であり、線と、線によってつくられた秩序を分析するのが政治学だと学生に教えるのです。身近なもので説明し、興味を持つきっかけを分かりやすくつくってあげると、あとは学生が自ら学んでくれます。 今では自分なりの方法を掴んで、教育もやりがいの一つになっています。学生との距離も近くなりましたね。研究室で語り合うのは楽しいのですが、研究が進まなくなってしまうのが最近の悩みです(笑)。将来に光が差し込んだ政治学との出合い 今でこそ政治学ひと筋ですが、大学に入学した頃は自分の将来を深く考えたことすらありませんでした。ドラマの影響で検事に興味を持って法学部への進学を決めましたが、いざ授業を受けてみたらどうも面白くない。偶然出会った尺八の演奏活動に精を出すようになり、「法」学ではなく「邦」楽を楽しんでいました(笑)。 それでも「勉強で何かに打ち込みたい」という気持ちはずっとあって、2年生になり、何気なく入った環境法のゼミで「環境税」について書かれた一冊の本に出合いました。価値観の相違による諸問題を解決して人々を納得させ、税制という難しい政策を実行する。政治を実施する側とそれを受け入れる人々の葛藤に面白さを感じ、3年次からは本格的に政治学を勉強し始めました。 自分が打ち込むべきものを見つけてからは本当に勉強が楽しくて仕方がなかったですね。「この道を究めれば自ずと未来が拓けるだろう」という確信を感じて、そのまま大学院に進み研究の道へ入るのも迷いはありませんでした。「沖縄」という大きな衝撃を経験して 政治学を専門にしていると、政治的に複雑な背景を持つ「沖縄」という地を避けて通ることはできません。いつかは沖縄から政治を考えたいと思っていて、募集が出ていた現在のポストに応募しました。そして5年前、琉球大学先輩!こんにちは真面目で、「一意専心」な久保さんは、大学で出合った政治学の道へ。さらなる活躍に向け、日本の政治を語る上で 避けては通れない沖縄に拠点を移して、教育と研究に没頭する日々を過ごしています。〈プロフィール〉1983年栃木県生まれ。2006年に中央大学法学部を卒業し、筑波大学大学院人文社会科学研究科へ進学。2011年に博士(政治学)を取得。筑波大学人文社会系助教などを経て、2018年4月より現職。大学院奨学生第1期生よしぼくあき久保 慶明 さん琉球大学 人文社会学部 准教授23 IKUEI NEWS 2018.10 vol.84

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