IKUEI NEWS vol82
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AIによって社会はどう変わるのか事例取材多岐にわたる狩野研究室の研究トピック 狩野芳伸准教授は「自然言語処理」を専門に、大学時代から約20年研究を続けています。研究室では、基礎研究となる自然言語解析器の研究をはじめ、応用的な英語論文の自動解析など、さまざまなテーマを取り扱っています。特に応用研究の中でも、医療分野の「電子カルテの言語処理」は実現の可能性が高い、と狩野先生は話します。 「これはカルテに書かれている手書き自由文の自動解析です。個人情報保護などの問題で、一般の研究者が電子カルテにアクセスすることは容易ではありませんが、大量のカルテデータが手に入れば、自動解析によってカルテ同士の情報をつなぎ合わせて、今まで分からなかった治療に役立つ新しい情報を発見できるかもしれません」。 その他にもこれまで、大学入試(社会科)や医師国家試験の自動解答というテーマにも取り組んできましたが、ここ最近では、司法試験の自動解答にもチャレンジしているそうです。 「司法試験の問題は、人間関係や倫理、法律などの要素が複雑に絡み合っており、非常に難しい分野です。 いつかこれが可能になれば『裁判の自動化』が実現するかもしれません。主観が混じらない分、機械にぴったりな分野だといえるのではないでしょうか」。学生の手で作られた『AICO』は既に実用レベル 数々の研究の中でも、キャッチコピーを自動生成する「AIコピーライター」、通称『AICO(アイコ)』は、企業や新聞社とのコラボレーションにまで至っており、既に実用レベルにあります。(株)電通と狩野研究室の共同で開発されたこのシステムについて、開発に携わった同大学院修士1年生の岩間寛悟さんが説明してくれました。 「テーマを一言入れると、ワンクリックで自動にキャッチコピーを何個でも作ってくれるシステムです。元となるデータは、電通のプロのコピーライターさんに作っていただいたもの。その大量のデータから、関連する言葉を自動で拾って構築しています。開発当初はほとんど意味が分からないものばかりでしたが、今では自動生成したうち7~8割は日本語として成り立っており、実際にそのままコピーとして使えそうなものも2~3割はあるのではないでしょうか」。 狩野先生は、『AICO』を「人間の補助として活用してほしい」と語ります。 「コピーライターさんの発想の助けになると思います。あとは、ビジネスで単価を抑えたい場合に、AICOの案をそのまま使ってもらうという手もありますね」。「言葉を操れる対話システム」が究極の目標 狩野先生は、自身の研究における最終的な目標を「人間並みに言葉を操る対話システムを作ること」だとし静岡大学の狩野芳伸准教授の専門は、人間の書き言葉や話し言葉を機械に理解させ、人間と対話できるシステムを作る「自然言語処理」です。現在は、キャッチコピーの自動生成システムの開発など、夢の実現に向けて着々とその歩みを進めています。狩野先生の研究内容から大学生へのメッセージまで、さまざまなお話を伺いました。静岡大学 情報学部行動情報学科 狩野研究室「AIコピーライター」の実現をステップに、目指すは人間並みの対話システム『AICO』の使用画面。かのかんご岩間さん(左)と、狩野准教授(右)。15 IKUEI NEWS 2018.4 vol.82

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