IKUEI NEWS vol81
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外国人に接する機会もないため、英語への苦手意識は一向に改善されないままなのです。 しかし、英語をはじめとした外国語を使う機会は、これからは避けて通れなくなりそうです。厚生労働省が2017年に発表した外国人雇用に関するデータによると、2016年10月末時点で日本で働く外国人は約108万人。この数値は4年連続で過去最高を更新しています。さらに、訪日外国人旅行者数は2016年に2000万人を超え、政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに4000万人を目標としています(図6)。日本国内で生活する外国人も年々右肩上がりに増え続け、編集部インタビューにて東京外国語大学大学院の鶴田知佳子教授も指摘するように、今後私たちの日常は多言語・多文化になっていきます(5〜6ページ参照)。 この「内なる国際化」が進めば、事例にご登場いただいた富士通訳ガイドアカデミーの知念保則さんが務める「通訳案内士」のような、国内でグローバルに活躍する仕事が増えていくはずです(20ページ参照)。そして、同じく事例で紹介するボーダレスハウス株式会社の「国際交流シェアハウス」のように、日常生活レベルで外国人と関わることも当たり前になるでしょう(19ページ参照)。 グローバルというと「海外へ行くこと」に目がいきがちですが、日本国内がグローバル化する時代がすぐそこまで来ています。 グローバルに生きることが求められる時代、外国語、特に国際共通語である英語は、外国の他者とコミュニケーションをするための「ツール」として必要不可欠です。事例取材でご登場いただいた立命館大学の山中司准教授は、完璧に英語を話そうとすることよりも、「下手でも臆せず英語でコミュニケーションする経験」が英語力を伸ばすと言います(17〜18ページ参照)。編集部インタビューでご登場いただいた新条さんも「100点ではなく60点を目指せ」と指摘するように、外国語を習得する上で大切なのは「正しく話す」ことではなく、「間違えてもいいから話して伝える」ということです。結局、言葉は外国の人と交流する手段の一つに過ぎず、完璧に使いこなそうと重く捉える必要はないのです。 また、映像翻訳家の寺本亜紀さんは、言葉だけではなく「その国の文化的背景や慣習」を理解することが大切だと述べます(9〜10ページ参照)。言葉だけを理解しようとするのではなく、相手の背景にある「文化」を理解し、多様性を受け入れることが、真に外国語を身に付けることにつながります。 文化を理解するために、直接現地の人と交流することは欠かせません。大学生の皆さんにとって、留学は身近なグローバルへの一歩です。いくら分かっていても、世界へ飛び出す最初の一歩は勇気が要ることでしょう。今号では、留学を経験した奨学生4名からそれぞれの留学・海外経験について座談会形式でお話を伺っています。一足先にグローバルの扉を開いた「先輩」からの言葉は、留学や海外渡航を考えている読者の皆さんの背中を押すものとなるでしょう。 今号では、同時通訳者、多言語講師、映像翻訳家や大学教授など、外国語を使ってさまざまな分野で活躍する方にご登場いただき、グローバルの先人たちが見た「壁の向こう側」について語っていただきました。その経験談にあなたはきっとわくわくし、グローバルという未知の壁の向こう側を覗いてみたくなるはずです。今号が、これからのグローバル社会を生きる皆さんの、「グローバルへの扉」を開くモチベーションにつながれば幸いです。国際化は日常のあらゆる場面で臆せずにグローバルの扉を開けて壁の向こう側へ〈図6〉 訪日外国人数の推移日本政府観光局調べ2005101517(万人)3,0002,5002,0001,5001,000500020(年)1~10月(推計)2,379万人年間見通し2,800万人超政府目標4,000万人~4

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