IKUEI NEWS vol81
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「ここは何?」と始めたウズベキスタン研究 大学は、関西大学文学部の歴史学科、その中でもイスラム史を専攻し、研究テーマは「ウズベキスタン マハッラにおける日常的慣習と儀式の変容」でした。マハッラとはウズベキスタンの地域コミュニティーのこと。ソビエト政権下においてはマハッラが「共産主義のプロパガンダ」として利用されており、その経緯や機能について研究していました。この時の研究調査で、史料だけなく実際に現地に赴いて得る情報の有用さを実感したことが、今の「三現主義」の考えにつながっています。 特にウズベキスタンにこだわりがあったわけではないのですが、子どもの頃から世界地図が好きでよく眺めていました。その頃から、アジア、ヨーロッパ、アメリカはよく知っているのに、アジアとヨーロッパの境目はいつも授業で飛ばされ、「なんで?」という疑問がありました。中国の左側の大きな土地はいつも無視され、ウズベキスタンとかカザフスタンなど、「スタン」とつく国ばかり。思えば私の興味はここから始まっていました。 大学に入学した時、抱いていたこの素朴な疑問を掘り下げて研究したら面白いかも、と考えて中央アジアのウズベキスタンを選んだのです。「これを学んだ」と言えるものを持つために大学院へ 社会人になってから、いろんな職業を転々とするのは日本では難しい。そう考えて、学生時代はいろいろな業種のアルバイトを経験しました。工場の流れ作業、球場の売り子、飲食店店員やコンビニ、塾講師、旅行会社……。どんな仕事が自分に向いているのか試す意味でも次々にチャレンジしました。いただいた給料を貯めて、3カ月に1回は、異文化に触れ自らの視野を広げるために、海外旅行へ行っていましたね。 大学を卒業したら就職するのが当たり前だと思っていたので、3年生の頃には就職活動を始めました。しかし、いざエントリーシートを書き始めると、「大学でこれを学んだ」と明言できるものが書けず、まだ社会に出る価値がないのではと悩みました。そこで思い切って就活をやめ、大学院へ進学することに決めたのです。 ですから、大学院に進学したのは、特定の研究をやりたかったわけではなく、自分探しに近かったと思います。2度目の就職活動はリーマンショック後で厳しいものでしたが、大学院に行ったおかげで、達成感を持って堂々と挑むことができました。忙しいと感じていても、時間は作り出すもの 学生時代は、本当に時間を贅沢に使える時です。授業、サークル、アルバイトや遊ぶ時間に忙しく、これ以上何もできないと思っていませんか。それ以外にも、好きなことにじっくり挑む時間を作ってほしいと思います。 私自身もそうでしたが、「これをやった」と言えるものが何か一つでもあれば、就職活動でも、その後でも自分を表現できる武器になります。それを獲得するための時間を作るのは、社会人になってからでは難しくなってしまいます。自由な時間がたくさんある学生時代だからこそ、語学や研究、趣味、スポーツなど、自分の究めたいことにも時間を割いて、自分の基盤を磨いてほしいと思います。ヒヴァ(ウズベキスタン)での調査にて。カシュガル(新疆ウイグル自治区)での調査にて。33

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