IKUEI NEWS vol81
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-----昨年4月にご就任されましたが、学長生活はいかがでしょうか。 改めて振り返ると、まだ1年経っていないのですね。私は学長ではなく、研究や教育をやりたいと思って大学に来ました。学長になると教授を辞めなければならないことを学長就任の直前に知り、大変驚きました(笑)。研究室もなくなってしまいましたし、学生も皆違う研究室に配属になってしまい、その点では大いに寂しいです。 学長職をお引き受けしたのは、これまでの30年間、好きな研究をさせてくれた大学への恩返しのつもりです。私とともに3名の副学長、農学部長、工学部長も同時に交代しました。大学を変革するには良いチャンスであるとも思っています。-----民間との共同研究件数が国公立大学で2番目、研究費の外部資金比率も5位と高いのですが、積極的な取り組みの反面、大学の自主研究に問題はないのでしょうか。 国立大学は国の支援が基本です。法人化前の国立大学はいわば国営ですから、資金的には余裕があり、研究の自由度も高かった。その中には最近のノーベル賞級の研究もありました。しかし、2004年に国立大学が法人化され、自主運営の獲得と同時に運営資金の調達義務も負うことになりました。思うような研究を続けるためには、先生方も外部資金を獲得する必要が出てきたのです。 幸いにも本学は、以前から実学寄りで産業界とは強い絆を持っていましたので、資金調達のために研究の方向性を変える必要もなく、従前どおりの世の中に役立つ実学を進めてくることができました。従って、本学では外部資金の割合が多いということは自然であり、抵抗感はありません。-----少人数教育も特徴の一つだそうですね。 教員1人当たりの学生数9名と、国立大学の中でも非常に少ない方社会に役立つ研究に不可欠な「農」と「工」の協業先生方と共に「学生を育て伸ばすこと」に全力を注ぎたい研究・教育が好きだから、そのクオリティを高めていく-----農学と工学が共存していることで、実学としてどんなメリットがありますか。 農学部の農場の例でご紹介しましょう。農場といえば畑に種をまいて作物を育てるというのが普通です。それを自然の力で育てるのではなく、生産をコントロールできる工場にしようというプロジェクトを農工共同で立ち上げました。 既にキャンパス内に工場(先進植物工場研究施設)が建っており、その建物の中では、部屋ごとに春夏秋冬を再現し、四季を完全にコントロールしています。これによって年1回しか収穫できなかったブルーベリーを、周年で穫れるようにしようと取り組んでいます。 作物の育成と管理は農学部のノウハウで行い、設備システムや機械の開発、工場の設計開発・施工管理は工学部のノウハウで行う。具体的には、農作業を楽にするウェアラブルロボット、果実を自動で収穫するロボット、太陽の光を求めて自走する鉢ロボットなどがあります。システム開発を両学部が協力して行えることは、農工共存のメリットといえるでしょう。-----このような共同プロジェクトが、「農工大学」という名前を表していることになりますね。 そうありたいと思います。それに関連して、本学の課題の一つが知名度アップです。実学の歴史が長いので、産業界にはよく知られているのですが、中高生にはまだまだのようです。ですから、どうやって知名度を上げるかということが我々の課題の一つです。 新入生に聞くと、「○○をやりたいから東京農工大学に入りました」という学生さんが増えてきました。目的意識を持って大学で学ぶなら、東京農工大学を選んで良かったと思うはずです。です。そのため研究室に入ると、きめ細かい指導が受けられ、先輩・後輩とのコミュニケーションも取りやすい環境です。学生行き交う工学部、小金井キャンパスの様子。29

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