IKUEI NEWS vol81
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-----校名の「農工」が大変ユニークな東京農工大学の特長についてご紹介ください。 農学と工学という二つの専門分野を持つ大学は、日本では本学だけです。これから地球が遭遇するであろう食糧問題、環境問題に対して農学と工学で対応することができる、すなわち本学が世界から必要とされる時代がいよいよやってきたのだと思っています。 本学の工学も農学も、遡れば蚕糸にその源を発しています。工学は蚕が作った繭からできた絹糸の検査から始まり、いかに上質な絹糸を作るかという工学領域へと深化してきました。一方の農学は、蚕の食料となる良質な桑の葉を作り出すための研究から始まっています。明治維新の日本の唯一無二の輸出産業を担い、外貨獲得、国家予算調達に多大な貢献をしてきました。 その後、世の中の進歩に合わせて研究分野は拡大し、現在の工学部は生命科学から、エネルギー、ロボット、情報工学まで、幅広い領域に取り組んでいます。農学部では昆虫研究から、食物、生産、環境、獣医学に至るまで、これもかなり幅広い領域をカバーするようになってきました。開学以来のポリシーは変わりませんが、農学と工学を組み合わせることによって世界を救うために役立つ、人材養成を進めています。-----農学と工学の組み合わせが、サスティナブルな地球維持に深く関与してくるということでしょうか。 そうですね。他にも重要な分野はあると思いますが、我々としては食料とエネルギーに特化して、その切り口から地球を救おうじゃないかという意気込みで教育と研究を行っています。 とはいえ、バランスを取ることばかりに気を使うのではなく、農学と工学のそれぞれ良いところをどんどん伸ばすべきだと思います。両者のバランスは社会のニーズが決めることでもありますから、必要なものは押さえずにどんどん伸ばしています。だから、本学の先生方は生き生きと研究に取り組んでいます。-----GIRについて詳しく教えてください。 2014(平成26)年度に文部科学省から、「世界水準の教育研究活動を飛躍的に推進する国立大学12大学」の一つとして選定されたことを受け、グローバル化推進の取り組みの一環として始めました。2014年にはGIR機構を設置、2016年にGIR研究院を立ち上げ、2017年度からいよいよ研究がスタート。既に年間80名ほどの著名な先生方をお呼びして、学生との活発なディスカッションや、熱心な研究が始まっています。文部科学省からは他大学にはない試みだと高い評価を得ています。 GIR研究院に刺激されてか、2016年の本学教員一人あたりの論文発表数が東京大学・京都大学より多く、日本で2位になりました。このような形で国際共著論文を書く習慣が定着し、数だけでなくそのクオリティを高めるためにより深く高度な研究が進めば、その成果はやがて院生・学部生にも及び、教育の質向上にも貢献することになります。「教員あたりの学術論文数」は国内2位、世界の優秀な人材との交流も実学に寄り添った研究と社会との協業こそ真骨頂建学の祖である大久保利通を称える記念碑。 農学と工学の二つの領域を専門にする先生方が集まって、提案や研究ができることこそ、他大学にはできない本学の強みだと思っています。これを実践する組織が「グローバルイノベーション(GIR)研究院」と呼ばれる、農学と工学の両分野で先端研究を行っている先生方で組織する研究組織です。ここでは、「食料」、「エネルギー」、「ライフサイエンス」の三つにグループ分けをしています。 「ライフサイエンス」分野は、食料やエネルギーの確保・増産、枯渇が見えている石油依存から脱却して自然のライフサイクルを使うための研究分野です。この三つを統括し、推進するのがGIR研究院の役割。農・工の協力の下、世界のトップクラスの研究者を、年間最大で3カ月間本学で雇用し、学生とのディスカッション、研究会や講演等の交流をしながら研究を進め、最終的には国際共同研究を論文としてまとめます。農学部のある府中キャンパスの様子。作物を育てる畑やビニールハウスが並ぶ。28

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