IKUEI NEWS vol81
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わず会話をするようになりました。最終的にはボキャブラリーや表現は限られるものの、日常会話はできるようになりました。田中 留学は、「研究室配属、英語ができればOK、授業の受講はなし」が条件でしたが、現地に到着した途端、授業を受講しないと奨学金がもらえないこと、私の研究領域の授業の多くはドイツ語で行われていることが分かりました。指導教員からも、「ドイツ語ができないのに何で来たの?」と言われ心が折れました。英語で行われる専門外の授業を受講する留学になってしまいましたが、おかげで視野は広がったと思います。 留学がスタートした10月は自分がやりたいことをできないイライラが募り、友達もいなく、帰宅するとすぐに寝てしまう毎日でした。ひと月ほど経ったところで、「できないことは諦めて今を楽しもう」と考えて、今の自分にできることから少しずつ始めました。2〜3カ月後には、現地の小学校に自分でアポイントをとって見学などを始めることができました。世界に触れると、人は何かが変わる│ 扉を開けグローバルに接する前の自分と、接した後では、何か変化を感じましたか。大久保 1年間のドイツ留学から帰国して気付いたのは、自分が物事に寛容になったということです。 ドイツに行く前は、電車で我先に席取りをする人や、電車の遅延などにイライラすることが多かったのですが、ドイツではそれが当たり前。失敗に寛容で、何でも許すところがあります。電車への駆け込み乗車も、ドイツでは車内の乗客がドアを押さえて手助けしてくれます。自分の一分一秒の損よりも、互いを助け合うところがとても良いなと思いました。自分も一分一秒を争わない、ゆとりと思いやりの心を持てるようになったのかなと思います。田中 私は二点あって、一つ目はストレス耐性です(笑)。どこでも何でも楽しむように、ポジティブシンキングをできるようになったのかなと。出発前に想像していた留学とは違うものになりましたが、時間の経過とともに、できることが増え、それをどう楽しむかを考える経験ができた。今後もそう対処できるという自信がつきました。 二つ目は、世界の人と接した結果、世界のニュースがちょっと気になる。今まで聞き逃し、見逃していたニュースが、あの国の誰かの顔が思い浮かぶようになり、身近になりました。加藤 私も二つあります。一つ目は、何か変えたかったら自分で行動を起こさなければならないと考えるようになったこと。その行動は必ずしも良い結果に結びつくとは限りませんが、その結果を受け入れて、次を考えることが自分を成長させていくのだと分かりました。 二つ目は、適応能力を手に入れたことです。英語で「ブックスマート」と「ストリートスマート」という言葉があります。「ブックスマート」はアカデミックな頭の良さで、英語をずっと勉強してきた私にはこれは備わっていたかもしれません。 しかし、本当に大切なのは、環境への適応能力や社会を生き抜く頭の良さである「ストリートスマート」です。そこが私には欠けていま田中 維 さん永野 良明 さん〈田中さん〉ドイツ留学中、小学校の放課後教室を訪問した際に。25

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