IKUEI NEWS vol81
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国家試験後までサポートする通訳案内士のための学校 通訳案内士志望者に、多くのサポートを提供する富士通訳ガイドアカデミーは、今年で創立22年目を迎えました。毎年およそ100〜200名の生徒が受講しており、その多くが国家資格の取得に至っています。年齢層は幅広く、60歳前後の年輩受講生も増えています。前職で海外赴任などを経験し、語学力に自信のある人々が、第二の人生として志すケースが多いようです。 富士通訳ガイドアカデミーの創立から現在まで、代表取締役を務める知念保則さんは、同校アカデミーの特長的な取り組みについて、「提供するサポートは国家試験対策だけにとどまらない」と言います。 「当校では、受講者の国家試験合格後を見据えた取り組みを、主に二つ行っています。一つ目は『新人ガイド研修』です。通訳案内士の仕事は観光業の一種ですから、旅行会社と協同しないことには、ガイドの機会をいただくことはできません。研修では、旅行会社への営業ノウハウや旅行日程の管理など、語学以外の部分も全面サポートしています。 二つ目は、ガイドの経験がない当校の卒業生に、仕事を紹介することです。外国人観光客を対象とした旅行ツアーを当校が企画し、卒業生に『ガイドデビュー』の機会を提供しています。自分の仕事に自信をつけるためには、スタートダッシュが肝心。語学力の維持はもちろん、観光スポットの知識の拡充など、自己研鑽し続けてきた知念さんに伺いました。 「グローバル化に対応するためには、自国の文化を知ることが大切です。明治時代以降、日本は他国文化の導入に心血を注いできました。現在の豊かな生活は、そのたまものであることに違いありませんが、日本文化を知り、その良さを発信していくことについては、ないがしろにされてきたように思います。モノ・コトが溢れかえるグローバル時代において、自国の文化や社会の成り立ちについて見識を深めなければ、自国に必要な、他国のモノ・コトの取捨選択ができません。語学力を磨いたり、他国の文化に注目したりすると同時に、自国のことをよく知り、ローカルを意識することも、グローバル化への第一歩ではないでしょうか」。ることが不可欠な仕事ですから、是非とも良いデビューを飾ってもらいたいのです」。自国への見識を深めることが、グローバル化への第一歩 富士通訳ガイドアカデミーを立ち上げる以前から、通訳案内士の仕事に従事していたという知念さん。長きにわたって、さまざまな国の人々との交流を重ねてきたそうです。仕事を通じ、異なる文化の人々と関わることの魅力について、知念さんに語っていただきました。 「自国を、他国の視点で見ることができる点が、大きな魅力だと思います。ガイドをしていると、外国人が、私たち日本人の思いもよらないことに興味関心を示す場面に出会います。通勤ラッシュの人だかり、はい・いいえの明言を避ける国民性、我々にとって当たり前のことが、彼らの目には珍しく映るようです。なぜ、朝の電車はあれほど混雑しているのか。物事を即決しないのはどうしてか。その理由を考察し、説明できるよう備えることが、ガイドの義務であり、楽しさでもあると思います。通訳案内士は、自国の文化や慣習を見つめ直し、学びのきっかけを与えてくれる職業だといえるかもしれません」。 最後に、グローバル化が進む現代をどのように生きていくべきか、長年言葉の壁と向き合い、日本文化の発信に貢献し外国人観光客に、通訳と観光案内を提供する通訳案内士。厳しい国家試験を突破した者だけが従事できるこの職業は、「民間外交官」とも呼ばれ、国際親善の手段の一つとして注目されています。1996年創立の富士通訳ガイドアカデミーは、通訳案内士を志す全ての人々のために開かれた専門校です。独自の取り組みのほか、「言葉の壁と向き合う」ことの意義などについて、取材しました。富士通訳ガイドアカデミーグローバルの時代にこそローカルの意識をやすのり代表取締役の知念保則さん。知念さんによる授業の様子。事例取材日常に国際交流がある世界20

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