IKUEI NEWS vol81
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※2 Sustainable Development Goalsの略。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」。生命科学部4回生の上田隼也さん。語学習得のためのさまざまな取り組み完璧になってから発信するのではなく、発信しながら 発表スキルも向上していきます」。 長きにわたって英語教育に携わってきた山中先生は、同プログラムの特長について、「活発なコミュニケーション活動を通して、機能的な英語運用能力、すなわち『使える英語力』が無理なく身に付くこと」と続けます。 「『Projects』を通じたコミュニケーションは、学生の英語使用への苦手意識を下げることにつながっています。日本の英語教育の現場では、以前から減点方式が用いられてきました。おかげで誰もが『完璧な文法や発音でなければ発信するべきではない』と萎縮し、実践の機会を逃してしまっていたのです。同プログラムでは、学生達に文法や発音のスキルで躊躇している暇など与えず、とにかく今ある能力、今持てる自分の英語の力でどんどん発信してもらいます。するとどうでしょう、みんな思ったより意外とできるものなのです。完璧さにこだわるよりも、本物のコミュニケーション活動を通してメッセージをやり取りする経験を積むことが、何よりも英語能力を上達させる鍵なのです」。英語を身に付けたことで広がった進路の選択肢 実際の受講生は、入学直後から英語を実践し続ける、プロジェクト発信型英語プログラムに対し、どのような思いを持っているのでしょうか。生命科学部4回生の上田隼也さんに伺いました。 「このプログラムが大変であることは、他学部生の間でも有名だそうです(笑)。私はもともと英語が得意ではなかったので、当初はプレゼンテーションの内容をほとんど練り上げることができませんでした。ただ、コミュニケーションを取りやすい雰囲気があったおかげで、先生方や優秀な学生からのアドバイスを受けやすく、英語の実践力は、自然と身に付いていったように思います」。 向上した英語力を活かすため、SDGs(※2)に関する国際会議への参加等で、世界各国を訪れる機会が増えたという上田さん。大学卒業を間近に控えた現在の目標について、お話いただきました。 「今は他大学の医学部へ編入する準備に追われています。医師になろうと思ったのは、英語を身に付け、さまざまな職業の評価を多角的に見聞きした結果です。生命科学部に入り、プログラムを受講したからこそ、決断できました。医師免許を取得したら、患者さんとのコミュニケーションを大切にしながら、海外で経験を積みたいです」。世界中の人とプロジェクトを組んで発信できる英語力を積極的に身に付けていこう プロジェクト発信型英語プログラムは、学生に英語力だけでなく、多角的な視野まで提供しているようです。山中先生は、英語を身に付けることの意義について、次のように語ります。 「英語のすごいところは、やはりグローバル時代の共通言語という点だと思います。第二言語として使用する話者がずば抜けて多いため、ひとたび情報を発信すれば、世界中の人々とやり取りすることが可能です。一方で、ちょっとぐらい英語が下手でも、内容が興味深ければ世界中の人が聞いてくれます。昨今は、映像や音声を駆使したマルチメディア表現も簡単にできます。言語だけの表現形態に拘らず、臆せずどんどんコミュニケーションに挑戦してほしいですね」。 最後に、プログラムの今後の展望について、山中先生に伺いました。 「現在は、プログラムの評価制度を刷新しようと努めています。英語の授業とはいえ、コミュニケーションを重視した内容である以上、語学力だけに注目するわけにはいきません。一方で、コミュニケーションの良し悪しは、安易に絶対評価できないので、難しいところです。英語の授業という枠にとらわれず、ポジティブに評価できる仕組みを整えることができれば、学生たちはより自信をもって、英語を使えるようになっていくはずです」。事例取材じゅんや3回生後期のJunior Project(専門英語)2の様子。ライフサイエンスの内容をもとに各自がプロジェクトを行い英語で発表。内容について専門分野の教授からコンサルテーションも受けられる。18

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