IKUEI NEWS vol81
18/44

フランス語学科長の舟杉真一教授。大学院外国語学研究科長の小野隆啓教授。明日への視点言葉の壁を乗り越えた新しい世界自分を育てる学生生活の過ごし方21言語を同時に学び、それぞれの特徴を知る 「二言語同時学習」は、京都外国語大学大学院外国語学研究科長の小野隆啓教授によって2003年に考案されました。二言語同時に学ぶことの意味とその効果について、小野教授に伺いました。 「きっかけは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の言語学の客員研究員時代に経験したことでした。ある授業の中で、アメリカ人とギリシャ人の先生が一つの現象について、それぞれの言語での表現方法を議論をしていました。MITの世界各国から留学に来ている学生に『君の国ではどう表現する?』と話をふると、たった一つの現象をめぐって議論はあっという間に広まり、盛り上がりを見せたのです。 その授業から、言語間の違いを比較することで、それぞれの言語の特徴が分かりやすく浮かび上がってくることに気が付きました。日本の大学でもこれを応用できれば、言語に対する理解が深まるのではないか、と考えて本プログラムを立ち上げたわけです」。ぶっつけ本番、ライブ感いっぱいの授業が命 本プログラムでは、日本人であれば一定の基礎がある英語を基軸として、フランス語や中国語などのもう一つの言語を同一教材を用いて同時に学びます。授業では、それぞれの言語を専門とする2人の先生が同時に教壇に立ち、チーム握った手を振りますが、フランス語圏では握るだけ。こうした気付きがあるのは、同時学習ならではですね。 また、この授業ではあえて事前に打ち合わせはしません。決まりきったことをやると学生たちもしらけてしまいますので、英語に対しては学生と同じく学ぶ姿勢で授業に臨んでいます。逆にフランス語に関しては準備をしていきますが、思わぬ部分で質問が来る時もあります(笑)。しかし、そうしたライブ感があるからこそ、インパクトが強く、記憶に定着しやすくなるのです」。留学生との交流で多言語会話が自然に身に付く 本プログラムは2年次から選択でき、前述の英仏クラスに参加する学生は24名。授業には、英語圏、フランス語圏の国からそれぞれ3名の留学生も参加しています。実際に授業を受けている学生は、どのような感想を持っているのでしょうか。英米語学科の2年生、谷口咲さんにお話を伺いました。 「英語が主専攻の私にとって、第二外国語のフランス語の授業は週に2回だけ。使う機会なんてありませんでした。このティーチングで教えていきます。 言語ごとにチームがいくつかある中で、英語を専門とする小野先生がチームを組んでいるのは、フランス語学科長の舟杉真一教授。同一の教材には映画『ハリー・ポッター』を使い、英語とフランス語、それぞれの字幕を見て、吹き替えを聴いて、授業を進めます。「 14年間一緒に授業をしていますが、毎回が新鮮」と舟杉先生は言います。 「言語だけでなく、文化も比較できるのはこの授業の大きなメリットです。握手一つとっても、英語では『Shake hands=(お互いの)手を振る』ですが、フランス語では『serrer la main=(相手の)手を握る』と表現します。確かに英語圏ではグローバル化とともに、日本でも「ダイバーシティ」の考えが広まるにつれ、自ずと英語以外の外国語も重要性を増してきました。第二外国語習得にも力を入れている京都外国語大学では、「英語+他外国語」を一つの授業で同時に学ぶ「二言語同時学習」が行われています。プログラムの目的や、多言語を同時学習するメリットについてお話を伺いました。京都外国語大学 二言語同時学習15

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る