IKUEI NEWS vol81
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「純ジャパ」取材記者としてニュースを世界に発信 私は、現在、アメリカの日刊新聞社ニューヨークタイムズ東京支局で取材記者として働いています。取材記者歴は通算で16年ほどになりますが、学生時代には、まさかこの仕事に就くとは夢にも思っていませんでした。自己紹介をすると、よく「留学経験有り、もしくは帰国子女ですか。」と尋ねられますが、日本の地方で生まれ育ち、公立の中学校、高校の英語教育を受け、英語好きな大学生としてのんびりと過ごしていた純粋な日本人、いわゆる「純ジャパ」です。学生時代に英語圏で過ごした経験は、一カ月に満たない短期旅行の数回のみでした。 学生時代の英語学習は、ほんの準備運動に過ぎず、その後、英語を使って仕事をする過酷な実体験の中で、失敗と苦労を積み重ねてはじめて、自分の思っていることを表現できる英語が身に付いたのでした。現在も英語と格闘する日々を送っていますが、教科書の構文や試験で問われる正確な英語よりも、多少間違ってもいいから気持ちや意味を伝えることを意識しています。がむしゃらに取り組めば英語力は国内でも鍛えられる 卒業後、母校の英文学科で事務助手を3年間勤めた後、上京。バイリンガル雑誌社を経て翻訳会社に転職、米国飲料メーカーの日本法人担当のコーディネーターとして働き始めました。国内の清涼飲料業界に関するさまざまな情報を必要としているクライアントは、世界有数の多国籍企業。翻訳者の下訳、社内編集の工程を通してプロの文章表現を学ぶことができる充実した職場環境でした。読み書き中心の業務に加えて、スピーキングとリスニングの力も鍛えようと、週末には通訳学校にも通学していました。ある日、恩師からの勧めで、英字新聞に掲載されていたロサンゼルスタイムズ東京支局の求人に応募をしたところ、200人を超える応募の中から採用され、取材記者としてのスタートを切りました。 入社早々、痛烈な洗礼を浴びることになります。それは、大手証券会社の部長の取材通訳を任されたときのことです。肝心の日本語の専門用語が理解できず、失神寸前で絶句してしまったのです。その失態を知った支局長からは、慰めどころか、「大変なのは分かるけど、できなかったらクビよ。」と叱咤されるありさまでした。経済アナリストへの電話取材では、録音を何度も聞き直しても日本語の意味が分からない。クビになっては大変だと、新聞や資料を読みまくり、取材メモを英訳する日々が続きました。入社から3カ月たったある日、核燃料加工施設の臨界事故により、従業員が被曝する重大事故が発生。右往左往す「純ジャパニーズ」でもグローバルに活躍できる寄稿●2上乃 久子ニューヨークタイムズ東京支局 取材記者「純ジャパ」が国内でグローバルに活躍するには―ニューヨークタイムズ取材記者の経験から―海外経験はほとんどゼロ、留学なんてしたことがない。それでも英語を駆使して、グローバルに活躍する秘訣とは。明日への視点言葉の壁を乗り越えた新しい世界自分を育てる学生生活の過ごし方2111

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