IKUEI NEWS vol.80
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2017大学生研究フォーラムにはどうしたらいいのか、大学生研究をしてきて自分の中でずっと考えてきたことに関して全国的なデータやエビデンスを得るにも良い機会だと考え、電通育英会との取り組みに踏み切りました。 取り組みの大きな目的は、「大学生のキャリア意識調査」を3年おきに行い、「大学生研究」を全国規模に広げて進めることでした。それも単なる調査・分析で終わらず、きちんと教育実践に反映し、授業や学習の改善・発展につなげなければなりません。調査結果を報告し、教育の現場にいる「実践者」たちから話を聞き、それらを議論する。大学生研究と教育実践をつなぐための場として、大学生研究フォーラムの開催がありました。 また、本フォーラムには大学教育とキャリア教育を架橋するという目的もありました。長年の調査経験から、学業を、その先にある社会や仕事などの「キャリア」とつなげる重要性は強く実感していたのです。 「大学生のキャリア意識調査」から 見えてきたこと 2007年から行ってきた「大学生のキャリア意識調査」は、全国の大学生の実態を明らかにしてきました。この調査の分析結果について、いくつかご紹介します。 まず、学生の学びと成長には、「成長指標」として資質・能力を設定しなければならないということ。学生の本質が表れる日常の行動から、学生の資質・能力を見極めて、目標を立てることが成長には重要なのです。 次に、「授業外学習」と「対人関係・コミュニケーション」が、学生の大きな成長要因だということ。与えられた環境での学習や対人関係だけでなく、積極的に自ら学びに行く姿勢や人とのつながりを広げていく、いわば「自律のエンジン」が成長には不可欠なのだと判明しました。 そして、私が「二つのライフ」と呼んでいる、「将来の見通しを持つこと」と「その目標を達成するために何が必要か理解して実行すること」の2点が、学生の学習意欲と相関性があり、学生の成長を大きく左右するということ。やはり、将来のキャリアを描けていて、そのために必要なことを考え実行している人は、学内外問わず勉強をして成長していくのです。 本フォーラムの 10年間を活かして 次の 10年へ 調査の成果とともに本フォーラムは変化・発展してきましたが、10年間のうちで一番変化があったのは、やはり2012年に東京大学准教授の中原淳先生が企画に参加してからでしょう。 毎回恒例になっている参加者同士がグループワークやディスカッションをする形になったのは、中原先生のおかげです。ここに集まる参加者たちがそれぞれ交流して、新しいものを生み出すという段階に発展しました。さらに、ここから社会人を対象としたトランジション調査ができるようになり、高校・大学生の調査が中心だった私の研究にとっても大きな前進となりました。企業や組織での学びを研究する中原先生が、フォーラムと「社会」をつなげてくれたのです。 語りきれないほどさまざまなことがあった本フォーラムですが、今回で最終回です。この10年間の研究を踏まえ、次の10年に向けた新たなテーマの一つとして、現在私は「教科学力」に着目しています。教科学力が低い学生たちでも実際には社会で活躍しているのですが、その間には何があるのか、というテーマに挑戦していきたいと考えています。 参加者の皆さんにも、自分自身を振り返って今後の課題や展開を考えてもらい、「次の10年間の見通し」を立ててほしいと思い、午後のプログラムを準備しました。最終回を迎えた本日のフォーラムが、皆さんの「これから」につながる一日になれば幸いです。6

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