IKUEI NEWS vol.80
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 大学生研究の 先駆けとなる取り組み 「大学生研究フォーラム」の10年間を振り返るに当たって、まず本フォーラムの前身である私の取り組みについてお話したいと思います。 私の専門は青年期の心理学ですが、大学生研究の分野でも活動をしています。10年ほど前に「大学生論」という言葉を作って本を出版した時は、多くのメディアに取り上げられて話題になりました。 私が、心理や教育の観点から大学生に特化した研究をし始める発端となったのは、1990年代半ば京都大学 高等教育研究開発推進センター 教授 溝上 慎一講演頃に始まった大学教育改革です。その頃の大学生は明らかに80年代の大学生とは様子が変化してきていることを実感していたのですが、当時全国の大学生を詳しく捉えた調査はなく、状況を把握することは困難でした。 全体像を何とか掴みたいと考えて調査を始めましたが、当時は私も20代。全国調査をできるような力はなく、どうにか学生や研究スタッフを100人ほど集め、3年間かけて地道なインタビュー調査を行いました。 関西圏を中心に、合計1200人のさまざまな大学生に話を聞き、分かってきたことが主に二つありました。一つは、大学での学業の充実が、学生の自己評価に大きく影響を及ぼすということ。もう一つは、将来の見通しを持つ学生は多くいるが、将来のために何か日常的な行動をしている学生は少ないということ。このインタビュー調査が、私の大学生研究の原点となりました。 大学生研究フォーラムの 始まりと目的 本フォーラムの始まりは、私が大学生の学び方について書いた一冊の本をきっかけとしています。その本に感銘を受けてくださった、電通育英会の当時の事務局長が「協同して大学生研究を進めましょう」と声をかけてくれたのです。学びと成長をつなげるため「10年間の大学生研究フォーラムを振り返って」5

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