IKUEI NEWS vol.80
35/40

現代のマーケティングにおいて不可欠なお客様からの推奨・評価 本日は、エクスペリエンス・デザインについてお話させていただきます。かつて、ブランドを強化するためには、広告を使ってイメージを高めることが、何よりも重要だとされていました。ところがSNSが台頭し始めた2010年代以降、その常識は覆されることになります。お客様個人のブランド体験による推奨や評価を、お客様自身が自由に発信できるようになったからです。商品やサービスの成熟化・同質化が進む中、企業はお客様のブランド体験への意識が求められるようになりました。 現代のマーケティングにおける課題は、「お客様の気持ちの変化に寄り添うこと」です。なぜなら、お客様に豊かなブランド体験、いわば「感動体験」をしてもらわねば、ブランドの評価は一向に高まらないからです。「エクスペリエンス・デザイン」は、感動体験を創造するための、マーケティングの有力なソリューションです。企業主語ではなく、お客様主語でマーケティング活動を刷新することで、お客様のロイヤルティを高めつつ、他のブランドへの流出を防ぐことができます(図)。「ペルソナ」を設定して「カスタマージャーニー」を可視化する お客様のブランド体験は、「商品購入前」、「購入時」、「購入後」というように、長い時間の中で幾度も繰り返されています。お客様とブランドの出会いの連続を、私たちは旅に例えて「カスタマージャーニー」と呼んでいます。カスタマージャーニーを、ワークショップを通して可視化することは、エクスペリエンス・デザインにおいて重要な行程の一つです。 カスタマージャーニー可視化のためには、架空のお客様像、「ペルソナ」の設定が不可欠です。出身地や趣味、生活価値観に至るまで、人物像を詳細に描写することで、感動体験へのアプローチ方法が分かりやすくなります。ペルソナの立場に寄り添うための四つの手順 ペルソナを設定したら、以下の手順でカスタマージャーニーを可視化していきます。①ステップ…ペルソナとブランドが出会う場面を想像する。②接点…出会う場所でどんな人(社員)やツールが関わっているのかを推察する。③行動…ブランドに出会ったことによる、ペルソナの行動の変化を考える。④気持ち…ブランドを通してペルソナが何を、どのくらい強く感じたのか、ペルソナの立場に寄り添って描写する。また、ポジティブな感情を「ディライトポイント」、ネガティブな感情を「ペインポイント」として抽出する。 可視化の過程で意識すべきことは、ペインポイントの対策です。どんなにディライトポイントが多くても、ひとつでもペインポイントが残ってしまえば、ペルソナによるブランド評価は下がってしまうからです。デザイン・フォー・ディライト、お客様に感動体験を届けるための体験デザインを心掛けることが何より重要です。 エクスペリエンス・デザインは、お客様と企業をつなぐ手段の一つとしても、注目を集めています。お客様の気持ちに寄り添うという行為は、業界を問わず、さまざまな場面で活かすことができるのではないでしょうか。お客様と企業をつなぐ、「エクスペリエンス・デザイン」2017年 大学院生セミナー 講演朝岡 崇史株式会社ディライトデザイン 代表取締役たかし朝岡 崇史 プロフィールエクスペリエンス・デザインを専門とするコンサルタント。1985年に電通に入社し、コンサルティング室長(ブランドコンサルティング)、㈱電通デジタルのエグゼクティブ・コンサルティング・ディレクターを経て、2017年1月に㈱ディライトデザインを起業。2011年から(公社)日本マーケティング協会マーケティングマスターコース・マイスターを務める。北京伝媒大学客員教授(2013年)。著書に、『IoT時代のエクスペリエンス・デザイン』(ファーストプレス)など。お客様は「自社のサービスを利用して対価を払う人」から「自社と価値を共有するサポーターへ」(図) お客様の推奨や評価が   マーケティングを動かすお客様のブランド体験価値を基軸にしたマーケティングプロセスの刷新ロイヤルティ強化=離脱率の軽減お客様の豊かなブランド体験フィードバック・共創の機会づくりお客様の満足・他人への推奨32

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る