IKUEI NEWS vol.80
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震災から救ってくれたカタリバの活動 私は昨年度開催された東京マラソン2017に参加し、42・195キロメートルを完走しました。「フルマラソンを走った」と言葉にすると簡単に片付いてしまいますが、私にとっては非常に濃い時間で忘れられない経験でした。なぜ東京マラソンを走ることになったのか、これには自分自身にとって重要な意味があったのです。 私は岩手県の沿岸にある大槌町という町で育ちました。2011年3月11日、中学1年生の終わりのころに大きな地震と津波がこの町を襲いました。この震災によって、たくさんのかけがえのないものを失いました。家や学校、よく遊んでいた公園や毎日歩いた通学路まで奪われたこの町と私に救いの手を差し伸べてくれたのが、カタリバでした。カタリバは、教科書も勉強する場所も失った私たちに、放課後に学習する場所と時間を提供し、学ぶ機会を作ってくれました。希望を失った私たちに、温かく貴重な出会いや経験を与えてくれました。やがて中学を卒業し町を離れてからも、さまざまな活動を通じてカタリバと関わってきました。自分のため、みんなのために走り切ったフルマラソン このようにカタリバとの縁があった中、東京マラソンのチャリティーランナーという制度を知りました。チャリティーランナーとは、自分が選んだ団体に対して10万円以上の寄付をして出走する人のことです。私はクラウドファンディングで必要額を集め、カタリバに寄付し出走権を獲得しました。私が走ることでカタリバ含め、他にも今まで支援をしてくれた方々へ「ありがとう」と「元気です」ということを伝えたかった。辛いことや苦しいことがあっても腐らずに頑張れるということを自分自身のために、今苦しんでいる誰かのために証明したかった。そんな思いを持って東京マラソンに挑みました。 練習では長くても30キロメートルしか走ったことがなかったので、当日はひどく不安でした。それでもスタート地点に立った時、大槌町で共に過ごした先生やカタリバの仲間の顔を見つけると、安心することができました。走っている途中、今まで支援をしてくれた方々や友達、数えきれない沿道の人々に笑顔で「がんばれ!」と応援されると、とても元気が湧きました。それと同時に、私が今までどれだけたくさんの人に支えられてきたのかを肌で感じました。そして、たくさんの支援と応援のおかげで無事に完走することができたのです。42・195キロメートルは本当に長くて苦しかったけれど、走ってよかったと心から思っています。法政大学 キャリアデザイン学部 2年 吉田 美涼みすず東京マラソンにチャリティーランナーとして参加フルマラソンで伝える、支えてくれた人たちへの「ありがとう」「奨学生のページ」は奨学生の活動について報告するページです。今回は、認定NPO法人カタリバに所属し、2017年の東京マラソンにカタリバのチャリティーランナーとして参加した吉田美涼さんによるレポートをご紹介します。高校1年生の夏、ボランティアとして大槌町で後輩に勉強を教えていました。東京マラソンで声援に応える様子。30

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