IKUEI NEWS vol.80
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-----さまざまな議論がある文系分野については、どうお考えですか。 イノベーションについての関わりを飛行機で例えると、今までは理系が研究開発を担う「主翼」で、文系は舵取りをする「尾翼」の役割を担っていました。しかし、これだけ産業構造がドラスティックに-----大阪大学といえば、その研究力が世界的にも有名です。 先日イギリスの学術雑誌「ネイチャー」が発表した、世界の研究機関がどれだけ特許に影響する研究成果をあげたかをランク付けした「Nature Index 2017 Innovation Tables」でも、本学は国内ではトップ、世界でも 31位にランクされており、本学の研究力の高さとイノベーションへの貢献度は、世界的に認識、評価されていると自負しています。 また、世界屈指の「研究型総合大学」としての役割を果たし、社会に貢献するためにも、現在は産学連携の取り組みに注力しています。従来の産学連携は、企業の製品開発における技術的ブレイクスルーを大学の研究室がサポートするのが主で、当該分野に詳しい教授や研究室と共同研究を行うというのが一般的でした。これを産学連携の「第1ステージ」と呼ぶなら、我々が全国の大学に先駆けて進めてきたのは「第2ステージ」とも呼べるもので、大学教員と出資企業の研究者が共通の課題について対等の立場で共同研究を行う「共同研究講座」や「協働研究所」を設置するなどの展開です。本学におけるこれらの講座、研究所の数は、合わせて60を超えています。 さらに、これから歩みゆく第3ステージは、大学と企業をはじめとするさまざまなステークホルダーが共に考えて新たな知を創る、「産学共創」です。はっきりと研究目的が決まっていた今までの共同研究から、方向性や目標を設定する部分から共に考えて創っていく共同研究にモデルをシフトしていくのです。 既に実例として、創薬分野では中外製薬㈱と大塚製薬㈱、情報分野ではエアコンで有名なダイキン工業㈱と包括連携を結ぶなど、着々と取り組みが進んでいます。-----「産学共創」について、先進的研究に加えて、現在行っている具体的な施策についてお教えください。 今進めていることの一つは、若手研究者の雇用・育成です。ご存知のように国立大学では財政が非常に厳しい状況が続いています。研究力を維持するためにも予算の確保は喫緊の課題です。特に若手研究者の安定的な雇用環境の確保は、長期にわたる研究の継続性確保のためにも大変重要な課題です。 この課題解決のために、企業や変化していく現代社会においては、文系と理系が研究開発の初期段階から融合していかなければ、イノベーションは起こせません。 昨年、囲碁の人工知能プログラムが韓国のプロ棋士を破ったことが話題になりましたが、人工知能技術としてよく知られている深層「産学共創」をカギに、世界有数の研究型総合大学として発展を「共創」と人文社会系の強化でさらなるイノベーションを起こす※1 Internet of Things。 IT関連機器に限らず、さまざまな物をインターネットに接続する仕組み。※2 研究者が大学、公的研究機関、民間企業のうち、2つ以上の組織と雇用契約を結び、  一定の勤務割合の下で、研究・開発および教育などの業務に従事することを可能にする制度。サイバーメディアセンター吹田本館1Fにある、サイバーメディアコモンズ。多様な情報技術が随所に活かされた、学生のためのアクティブ・ラーニングスペース。各種団体から寄附という形でご協力いただき、一定期間の若手研究員の育成・雇用環境を確保できる「高等共創研究院」という組織を作りました。 産学共創は教育にも及びます。2016年には本学とパナソニック㈱で、「人工知能共同講座」を開設しました。近年、IoT(※1)や人工知能など情報技術の革新が進む中、それらの知識や技術を持つ人材育成は必要不可欠ですが、企業の研究開発者でも専門的に学んできた人は多くありません。そこで、パナソニックのビジネスで培った実績と、本学が持っている情報技術の研究力を掛け合わせて、「座学+実プロジェクト」による実学プログラムを作りました。この講座をさらに発展させ、パナソニックの人材や本学の学生だけでなく、他企業、本学以外の大学生にオープンにすることで、社会全体の発展に貢献していきたいと考えています。 また、女性活躍の推進に対する制度も現在整備を進めています。日本の経済を活性化するには、今まで力を有効に活かせていなかった「女性の力」を活用すべきといわれています。本学では、特に研究の分野で民間企業や国立の研究所などと協力した「クロスアポイントメント制度(※2)」の導入においても、女性研究者に多様で発展的なキャリアパスを提供しています。NTN㈱との共同研究における実証実験を目的に設置された「独立電源通信網みまもりロボくんⅢ実験機」。25

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