IKUEI NEWS vol.80
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二つの「校祖」を持っているのです。 さらに、地域社会との結び付きも深いものがあります。関西圏には先に京都帝国大学があり、大阪に帝国大学は不要というのが当時の政府の方針でした。しかし、その頃の大阪は産業・経済の中心地で、いわゆる「大大阪時代」。地元の財界や市民から、産業の中心地には総合大学があるべき、という地域社会の強い要望と、積極的な運営資金の募集など、市民一丸となって国に掛け合ったことで大阪帝国大学は誕生しました。本学が設立に至ったのは地元の人々の熱意だったのです。 民間の手で作られた二つの学問所をルーツに、地域社会の要望によって創設された本学。こうした背景を持つからこそ、我々は地域を大切に、市民にどう貢献できるのかを常に念頭に置いています。それと同時に、グローバル化が進む現代社会では世界も視野に入れ、「地域に生き 世界に伸びる」をモットーとして掲げています。-----教育について、どのような学生を育てたいとお考えですか。 国立大学法人化を迎えた200-----大阪大学の特長についてお話ください。 本学の歴史は大きな特長の一つです。源流の一つである「適塾」は、1838年に日本近代医学の祖といわれる緒方洪庵により開かれた蘭学の私塾で、幕末から明治維新にかけて活躍した多くの人材を輩出しました。大阪大学のもう一つの源流には、江戸中期の日本の経済活動を担っていた大坂商人の手で開設された学問所「懐徳堂」があります。忙しい商人でも受講を可能にし、学問の中身を身分と切り離した点が当時としては極めてユニークでした。このように本学は政府によって設立された帝国大学でありながら、時代の先端を先取りする気風と、自由闊達な考え方の4年に三つの教育目標を定め、それらを身に付けた学生を育成すべく教育しています。 一つ目は、「教養」。それは一つの物事を多角的に見ることができる力だと私は考えています。数学の図形問題で、補助線を引くと問題が解きやすくなることがあります。しかし、補助線の引き方は何通りもあり、解は同じでも過程はさまざまです。現実の課題への取り組みも同じで、さまざまな捉え方、つまり多くの補助線を引きながら、最適な解決方法に辿り着ける、そんな視野の広い人材育成を目指しています。 二つ目は、「デザイン力」。デザイン力とは、課題に対して与えられた環境や決められた条件のもとで、最適解を導き出す問題解決力のことです。 三つ目は、「国際性」。ここでいう国際性は、単なるグローバルではなく地域にも目を向けたものです。地域に根差した活動をしつつ、世界でも活躍できる技量を持つ。まさに本学のモットーである、「地域に生き 世界に伸びる」を体現するグローカルな人材育成を目指しています。 これらに加えて、「コミュニケーション力」を持つことも重要です。電子メールなどが主要な情報伝達手段となった現代において、対面のコミュニケーションが減少していることに、かなり危機感を持っています。相手と対面で話すことで、言葉と共に態度・表情など総合的に相手の意思をしっかり受け止め、自分の意見も誠意を込めて相手に伝わるよう発信できるコミュニケーション力に富んだ人材育成を目指しています。グローカルで教養に富んだ人材を育成する、歴史ある総合大学情報科学研究科の研究棟(写真奥)と、学食やコンビニが入るポプラ通り福利会館(写真手前)。吹田キャンパス内にあるサイバーメディアセンター。情報科学の教育研究拠点、共同利用施設として、最先端のスーパーコンピュータをはじめとする高度な環境を全国の研究者に提供している。24

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