IKUEI NEWS vol.80
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――高校を卒業して大学に進学した学生たちは、どんな姿をしているのだろうか――。 2008年に大学生研究フォーラムに初めて参加した時の思いである。私は1990年代後半から、高校の教諭向けの進路情報誌で、大学生の「就職問題」や、「不登校・中退など、大学入学後のミスマッチ」を取材してきた。バブル経済が崩壊し、日本型雇用慣行が変化を余儀なくされていく中、高校生は「大学に進学すれば、正規雇用と将来が約束されている」という未来が描きにくくなった。人生の前提が崩れる中、高校でも従来の「出口」のみの進路指導ではなく、大学での学びを見つめ、卒業後の社会につなげる進路指導をしてほしい……との願いが強まった時期である。 そのさなか、大学生研究フォーラムは、「大学生の学びとキャリア」を可視化してくれた。その基盤となったのが、調査データからの「エビデンス」に基づく客観的な議論である。例えば、「大学生のキャリア意識調査」からは学生が大学教育で成長しているかどうか、「二つのライフ(日常生活と人生)」に注目し、「将来の見通しの有無とその実現に向けての実行」に、「中学・高校での進路指導が影響する」ことなど、幾つもの知見をいただいた。続く「トランジション調査」では、学校での姿が働く30代にまで影響を及ぼすことが明らかとなっていた。人のキャリアを考える上での明確な座標軸が示され、高校現場にも大きなインパクトを与えたと考えられる。 さらにこのフォーラムが斬新で魅力的だったのは、「大学生」というテーマで、大学と高校、企業、NPOなど幅広いアクターをつなぐ、「プラットホーム」となったことである。例えば印象に残っているのは、2011年からの「高校教諭のためのシンポジウム」。大学、高校、それぞれの立場から、突っ込んだやり取りがなされたことは、とても興味深かった。 この10年は大学改革から高大接続改革、さらに高校の教育改革へと向かった、大きな転換期だった。今、教育現場はこの変化を受け止めるのに精一杯である。その中で大学生研究フォーラムは、「キャリア教育を正課/教科教育へとつなげる手がかりや先進事例」を紹介して広く参加者と共有し、「実践知」を積み重ねて教育現場を変える役割も果たした。10年前にはほとんど知られていなかった「アクティブ・ラーニング」が、今や高校でも広く知られているのは、その証左である。 大学生研究フォーラムは閉幕となるが、ぜひ「その次」を構想していただきたい。 今後の10年は「高大接続改革の検証」から、「雇用の変化と教育への影響」まで、考察すべきテーマが目白押しだ。新学習指導要領の元、高校までの「学びの履歴」が大学生の学びや「働くこと・人生」にどう影響していくのか。地方と大都市の「情報・機会の格差」をどう考えるのか。これらを広く共有し、大学生の学びと成長を支える――。そんな「場」がまた創られることを、切に願うものである。大学と高校、企業、社会をつなぐ画期的な「学びのプラットフォーム」2017大学生研究フォーラムフリーランス・ライターふくながあやこ福永 文子20

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