IKUEI NEWS vol.80
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 大学生研究フォーラムの「これまでの10年、これからの10年」を考えることは、結果的に私の研究者人生を振り返り、今後何をするのかを思案することにつながりました。このフォーラムは、私が思っていた以上に、私の研究者人生に影響を与えていました。 私が初めてフォーラムに参加したのは大学院生の頃で、この時は一参加者に過ぎませんでした。そこから、電通育英会の実施する調査に、共同研究者として参加させていただくことになり、これがトランジション研究を始めるきっかけとなりました。その成果は、『活躍する組織人の探究 大学から企業へのトランジション』(東京大学出版会)、『アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ』(三省堂)の出版につながりました。2015年には、フォーラム前日のプレワークショップ講師として「リーダーシップ開発学」という企画を実施させていただきました。これは、現在の私自身の研究テーマの柱となっています。このように、現在の研究関心のもとにはフォーラムがあることに改めて気がつきました。このような機会をいただけたことに、心より御礼申し上げます。 フォーラムは、「新しいことを始めるきっかけ」を与えてくれる場でした。参加すると「学ぶべきもの」が明確になるので、大学に戻ってから書籍や論文の輪読会を開くことがしばしばありました。また、多様な参加者がいるため「知り合いの知り合い」とつながり、新たな企画が生まれることもありました。フォーラムは、多様な知と人材が交流する、プラットフォームの役割を果たしていたのです。 このフォーラムは、「メタにあがる場」でもあったと思います。高校・大学・企業のさまざまな実践事例・研究成果を聞くことによって、「全体の地図」が浮かび上がってくるからです。自分が関わっている実践・研究だけを見ていると、どうしても自分がどこにいるのかわからなくなってきます。フォーラムに参加することは、自分の実践・研究の現在地を俯瞰的に知り、次に進むべき道を見つけるきっかけとなっていました。 これらの経験をもとに「これからの10年」を考えてみると、まずは私自身がこのような「きっかけを作り出す主体」になる必要があります。そのためには、現在の大学教育改革のプランを最前線で実行している、同世代の研究者との協力が必要です。厳しい環境で戦っているからこそ見えてくる、研究・実践の視点を協力して形にすることは、大学の新たな文化形成につながっていくはずですから。次の世代を創るメンバーたちと、こうした動きを支える主体になれるよう、私も一人の学習者、アクティブ・ラーナーとして、新たな10年へ走り出したいと思います。「これからの10年」を指し示す、知と人材の交流2017大学生研究フォーラム立教大学 経営学部 経営学科助教たてのよしかず舘野 泰一18

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