IKUEI NEWS vol.80
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※島根県北方約60kmにある隠岐諸島のうち、西側の有人3島及び周辺の無人島により構成される群島地域。大学生研究フォーラム大学生研究フォーラム2017大学生研究フォーラムどうおきぜん地域の衰退を止めるべく生まれた「隠岐島前高校魅力化プロジェクト」 当校は1955年に開校した、隠岐島前地域唯一の高等学校です。隠岐島前地域(※)は、深刻な少子高齢化に見舞われており、当校の学生数も減少の一途をたどるばかり。我々教員は、島外への進学や就職を希望する生徒たちを支援しながらも、どうにか人口流出を止めたい、というジレンマを抱えていました。 「隠岐島前高校魅力化プロジェクト」は、教育と持続可能な地域社会の両立を目指し、2007年からスタートしました。今回はプロジェクトの中核を担う、「多文化協働高校生活」と「地域課題解決型学習」についてお話させていただきます。 一つ目の「多文化協働高校生活」は、「島留学」とも呼ばれる、全国から入学者を募る取り組みです。人口の少ない島前地域の学校では、人間関係の固定化による、価値観の偏りが問題となっていました。そこで、島外からの入学生という一種の「多様性」を募集し、学生数の補充と新たな人間関係の構築を図りました。学生は出身地を問わず一つの学生寮に入寮しており、コミュニケーションは必須。一つ屋根の下、多様な出身地の学生の交流が促され、多文化協働の意識が育まれています。 二つ目の「地域課題解決型学習」は、島前地域を取り巻く地域問題の解決方法を、学生主体で考えるという授業です。 島前地域には、少子高齢化から医療、雇用問題に至るまで、社会の重要課題が山積しており、島前地域で学ぶことで、多くの問題に対応する力が身に付くのでは、というねらいがありました。 根本的な課題解決にはつながらないとしても、「知恵を絞る」行為そのものが何より重要です。「授業だから」と漫然と取り組んでいた学生が、自分が生活している「地域と共に」という当事者意識を持ってくれることが理想です(図1)。「思考力」を身に付けて、地域への貢献度を深める プロジェクトの始動から10年が経ちましたが、地域の課題を通じて、問題解決力を育む生徒数、教員数を大幅増加させることに成功しています(図2)。子どもに島前高校の教育を受けさせたい、と一家で移住してくる方もいるほどです。 今後の課題としては、学生の「思考力」向上が第一だと考えています。島留学による協働や、地域課題への挑戦によって、学生たちの「学校外への意識」はこの10年間で大きく成長しました。今度は、実際に課題を解決できるほどの優れた思考力を求める段階に差し掛かっているのだと思います。より地域に貢献できる学生を育てるため、これからもプロジェクト推進に力を入れていきたいと思います。島根県立隠岐島前高等学校進路指導主任 2年学年主任SGH(スーパーグローバルハイスクール)担当中村 怜詞さとし(図1) 当事者意識(図2) 生徒数が倍増授業だから地域のために地域と共になかむら推薦倍率2.3倍/島内進学者も7割超に/教員数も倍増180平成15年平成16年平成17年平成18年平成19年平成20年平成21年平成22年平成23年平成24年平成25年平成26年平成27年平成28年1561321088460プロジェクトスタート地域との連携分科会③12

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