IKUEI NEWS vol.80
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※海洋エネルギーを利用した発電装置の性能や、耐久性を実験するための海域。 京都大学 高等教育研究開発推進センター 准教授田口 真奈ファシリテーター地域の課題は世界の課題グローカルの意識 私は、地方大学である当学が担うべき最大のミッションは、グローバルとローカル、両方の視点をもって課題に向き合うことのできる、グローカル人材の育成だと思っています。地方に存在する課題には、世界規模の課題、グローバルイシューが関わっていることが多いからです。 学長に就任して9年、学生にグローカルの意識を身に付けてもらうべく、私はさまざまな教育改革に取り組んできました。今回はその例を四つ、ご紹介したいと思います。 一つ目は、長崎大学の全学共通の目標である、「共有学士像」の策定です。これは、基礎学力、自発的な学習意欲、多様性への意識、そしてグローカリティーの4分野を、卒業時に身に付けておくべき力として定めたものです。これによって、学生と教員が一丸となって、地域や世界の課題と向き合うきっかけが生まれました。 二つ目は、「長崎地域学」の導入です。一年生全員が必修であるこの科目は、長崎のさまざまな企業や施設で働く社会人が、講義を行うというものです。講義内容は長崎の産業、歴史、文化等の基礎知識から、地域社会で働く意義まで多岐にわたり、学生の地域志向を高めます。近年の長崎県は、軍艦島の世界遺産登録や、五島列島への海洋エネルギー実証フィールド(※)の誘致等で、世界的にも注目を集めています。長崎地域を知ることは、世界に目を向けることでもあるのです。地域ボランティアや新学部を通し、グローカリティーを身に付ける 三つ目は、授業の枠を超えた、地域における活動の推奨です。学生ボランティアをはじめ、さまざまな正課外活動を支援することで、多くの学生が、地域社会へ積極的に飛び込んでいます。 近年目覚ましい活躍を見せているのが、「ながさき海援隊」です。当初は水産学部の学生を中心とした、長崎の浜辺を清掃するボランティアに過ぎなかったこの取り組みは、次第に地域の漁業協同組合の協力を得て、その規模を拡大していきました。最近では、清掃活動だけに留まらず、回収したゴミを科学的に分析し、環境関連の学会発表まで行うようになりました。まさに地域問題への取り組みが、グローバルイシューにまで目が向いたという好例です。この他にも長崎地域の各種団体等より提案されたボランティア活動へ、学生が課外活動として関わる「やってみゅーでスク」には現在、2400「グローカル」は、地域と世界の助けとなる名を超える学生が登録をしています。 四つ目は、多文化社会学部の新設です。2014年に誕生したこの学部は、本学初の人文社会系学部で、長崎の地域社会に根ざすグローカル人材を育てるために設立されました。グローカル人材育成のロールモデルとなることを目指し、一から歩んでいきます。 以上が、学生にグローカルの意識を授けるための取り組みです。地域社会はもちろん、やがて世界規模の問題にも立ち向かえる人材を多く輩出していけるよう、引き続き全学をあげて努めてまいります。長崎大学 学長片峰 茂しげるまなかたみねたぐち11

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