IKUEI NEWS vol.80
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※1 ある枠組み(フレーム)で捉えられている物事を、枠組みを外して違う視点から見ること。 ※2 ポスト・トラウマティック・グロース。心的外傷(トラウマ)後の成長。日本のキャリア教育への疑問から始まったカタリバの活動 私は、「夢を持とう」、「やりたい仕事を決めよう」という日本の初等・中等教育で行われているキャリア教育に疑問を持っていました。変化が激しく不透明な社会の中で、職業を早期に絞り込むことは本当に良いことなのか。未来のことを決めるよりも、目の前の教科の学びなどの面白さに気付かせることの方が重要ではないか。そうした思いから、自分の身の回りのリソース(資源)に気付ける「リフレーミング(※1)」の機会を子どもたちに提供すべく、2001年にこの団体を組織しました。 私たちは主に初等・中等教育を対象に活動しています。最初にスタートした「カタリ場」という活動は、ボランティアの大学生が高校生と将来について語り合い、お互いに気付きを得るというピアカウンセリングの取り組みです。高校生に将来について考えるきっかけを与え、自分の身の回りのことを捉えなおし、学習意欲を引き出すために行っています。 「カタリ場」は、多くの高校で取り入れられましたが、日常的な取り組みにはならず、いわゆる「イベント」としてしか実施できず歯がゆく思っていました。そんな悩みを抱えていた時、東日本大震災が起こりました。私は、この体験をただ悲しいだけで終わらせてはいけないと考え、被災地の子どもたちのPTG(※2)につなげるような、震災の体験をリソースとして強さに変えていく日常的な取り組みとして、被災地の放課後学校「コラボ・スクール」を始めました。学校と学校外組織が連携し、生徒の「探究心」を育てるキャリア教育を 私たちの「学びとキャリアの連携」活動は、17年目にしてようやく結実する兆しが見えてきました。それは、2020年の高大接続システム改革に向けて、今まで閉じられていた高校の教育が、「社会と連携・協働する」形へ変わっていく方針が打ち出されたからです。我々のような、学校外の組織の出番が増えてくるかもしれないのです。 また、この方針の中で高校生は「探究」という学習フェーズだと位置づけられましたが、私はここに希望を感じています。というのも、カタリバのもう一つの大きな活動として、高校生を対象に「マイプロジェクト」という実践型探究学習を行っているのです。これは、生徒がいま自分がやりたいと思っていることをテーマ設定し、地域や社会の課題を解決するプロジェクトを立ち上げ、実際に社会で実カタリバの活動から見る、学びとキャリアの連携行していくというものです。さまざまなマイプロジェクトに立ち会う中で、自分の関心・意欲から始まり、知識・技能に転じていくような、探究によって生徒が成長する姿を何度も見てきています。 キャリア教育に必要なのは、学校側の探究を支えるための日常的なカリキュラムと、我々のような学校外の時間を支える人たちが、生徒の意欲をかきたてる仕掛けをたくさん用意することだと思うのです。学校と学校外が連携し、生徒を応援しながら探究心を育てていく。これが、キャリア教育における重要点だと私は考えています。大学生研究フォーラム大学生研究フォーラム2017大学生研究フォーラム認定NPO法人カタリバ代表理事今村 久美いまむらくみ学びとキャリアの連携分科会②10

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