IKUEI NEWS vol.79
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 次に「人」ですが、誰かに会える機会があればできるだけ会っておきましょう。人と人とは相性や好き嫌いがあるため、自分にとっての「良い人」に巡り会うのは困難です。なので、基本は「イエス」。誘われたら行く、興味があったら講演を聴きに行く。自分に合わなければ、途中で帰ってくればいいのです。常に「イエス」の気持ちを持っていれば、良い人にも出会えるはずです。 最後の「旅」は、経験です。現地の情報を五感で感じることができるため、学べることがたくさんあると思います。大学生は比較的時間があるわけですから、行きたい所にどんどん行けばいいのです。「好き」の気持ちを大切に掘り下げて学ぶ習慣を 僕自身も、「本・人・旅」で自分の好きなことを極めてきました。僕は還暦でライフネット生命保険を開業しましたが、それまではほぼ毎晩のように飲みに行っていたので、人とはたくさん会っています。旅も、80カ国ほどの1200都市以上を自分の足で歩いたと思います。皆さんと同い年くらいの頃には、寝袋一つを持って北海道を1ヶ月間遊びまわったことたくさんの「本・人・旅」で好きなことを磨く 教養を深めていく方法として、僕は「本・人・旅」の三つを推奨しています。たくさん本を読み、たくさんの人と出会い、たくさん旅をするということです。 まず「本」ですが、良質な本は知識だけではなく、考える力をつけてくれます。そうした本を選ぶのはとても簡単で、方法は大きく分けて三つあります。 一つ目は、古典から選ぶこと。古典は、昔の優れた脳みそが当時のデータや事実を駆使してロジックを組んでいます。現代まで残っている優れた人たちの思考のプロセスを追体験することで、自分の考える力が鍛えられます。 二つ目に、新聞の書評を参考にすること。新聞の書評は、大学の有名な先生方が名前を出して書いています。実名で書いている分、本気で良い書評を書いていますのでまず信頼していいと思います。 三つ目は、本文の最初の10ページを読むこと。どんな本でも書く人は読んでほしいと思って書いているので、最初が面白いと感じれば最後まで読む価値はあるはずです。書店で気になる本があったら、これを試してみてください。もありますよ(笑)。 でも、僕という人間を作っているのは圧倒的に「本」です。僕は小学校の頃から本の虫で、大学生の頃は毎日15時間ほど読書していました。学生運動のピークの時で授業がなかったのです。自己分析すれば、僕を形成しているのは本=50%、人=25%、旅=25%といったところでしょうか。 大学生の皆さんも、是非「本・人・旅」を実践して、自分の好きなことを極めてください。好きこそ物の上手なれ、です。そして、どんなことでも学べば「人生の選択肢」が増えるのです。 今好きなことが見つかっていない人は、必死で勉強をする。怠けそうなら、SNSで大っぴらに成績目標を宣言するなど、勉強をせざるを得ない状況を作り出せばいい。教養を深めるための、自分自身に合った「学ぶ仕組み」を作ってください。 世界のリーダーは、自分の専門分野で修士号や博士号を取ってから、他の分野でも修士・博士を取ってくるような人が大半です。そうした人たちと堂々と渡り合うべく、学生のうちからとことん好きなことを掘り下げて学ぶ習慣を身に付けましょう。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当、ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、2006年に退職。同年、生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2013年から代表取締役会長を務め、2017年6月に退任。出口 治明(でぐち はるあき)6

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