IKUEI NEWS vol.79
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まずおさえておきたい僕たちが置かれている環境 まず、教養というものを語る前に、読者の皆さんには日本の現況について知ってほしいと思います。一般論で語るのではなく、自分たちが置かれている時代との関係を理解した上で、必要な教養について考えなければいけないからです。 ご存知の通り、日本は世界で一番高齢化が進んでおり、1年経てば皆が1歳年を取り、予算ベースで5千億円以上のお金が出ていくという状況にあります。このまま放っておけば、この国はどんどん貧しくなっていきます。今僕たちは、みんなで貧しくなるか、GDP、すなわち生産性を向上させてその分を取り戻すか、という状況に置かれているわけです。 では、生産性を上げるとはどういうことでしょうか。例えば、ある出版社にAとBという編集者がいたとします。Aは朝8時に出社して、夜10時まで働くけれど、本は全然売れない。Bは朝10時に来たと思ったらカフェに行って誰かとおしゃべりし、定時になったら飲みに出て、その日は戻って来ない。けれども、いろいろな人から話を聞いてアイディアが豊富なため、ベストセラーを出す。これならもちろん、Bが評価されるでしょう。 これがベルトコンベアの前で働く、製造業の場合だったらどうでしょうか。Bより、8時から10時までしっかり働くAの方が生産性が高くなります。つまり、工場モデルとサービス産業モデルとでは、働き方や生産性の上げ方が全く違う。今の日本は、サービス産業が主力になっているにもかかわらず、いまだ工場モデルの働き方や人材採用をしているのです。これでは全く生産性は上がりません。今は、イノベーションを生み出せるような人物が求められている、発想力がものをいう時代です。求められるのは好きなことを極めること いま世界で活躍するビジネスパーソンが皆、口を揃えて言うのが、「自分の仕事を深堀りできない人は、イノベーションを生み出せない」ということ。自分の仕事をよく知らない、深く理解していない人からは革新的な発想など生まれるはずがありません。自分の仕事を深掘りするのは、社会人としての必要条件です。しかし、これだけではイノベーションは生まれません。 「自分の好きなことを深堀りすること」がイノベーションを生み出す十分条件となるのです。これは趣味やスポーツなど、仕事とは一切関係がないものでも構わない。むしろビジネスに関係するものより、「自分の好きなこと」をどんどん伸ばすことの方が豊かな発想の糧になるのです。 だからこそ、大学生の皆さんは、今のうちに好きなことを徹底的に深堀りしてください。仕事の深堀りは社会に出てからやればいいので、今は少しでも自分の好きなことを極めておくべきです。 好きなことがなければ、成績で全て「優」を取ることを目指してひたすら大学の勉強に打ち込みましょう。必死で勉強しているうちに、おのずと好きなことが生まれてくるはずです。ライフネット生命保険株式会社創業者 出口 治明はるあき「好き」を極めて教養をつける社会人が考える教養5

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