IKUEI NEWS vol.79
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る人は、「感性のある人」と見られます。他の人たちが使っていない視点や判断軸が、そう感じさせるわけです。 一般的に、人間が持つ判断軸は4つあります(図)。論理と感情は比較的イメージしやすいと思います。直観とは、いわゆるひらめきです。これは多分に「無意識」が影響しています。無意識に蓄積されている膨大な記憶から瞬時に判断し、「意識」にメッセージが送られている状態です。感覚とは、感覚器を使った判断、つまり目や耳などの感覚器を駆使して、正確に事実状況を観察することによる判断です。これら4つを常にフル稼働させると創造的思考の発揮につながります。 また、それぞれを同時に発揮すると、図の各象限のように、科学、推論、信条、芸術という判断になります。教養を身に付ける最大の意味は、これらの判断を全て効果的に行えるようになることなのです。科学や芸術とはどのように考えられ、執り行われているのかを知れば、そのような判断ができることになります。推論は教養領域でいうと、例えば歴史において必要です。単独の事象だけでは確認できないことも多くあり、それらをつなぐためには推論が重要なのです。また信条領域については、宗教や思想が当てはまります。これらを知ることで、自分とは違う信条を持っている人たちも理解でき、より前向きな関係を構築できるようになります。 このように、教養を身に付ける際には、単純に知識を増やすだけではなく、それらがどのように考えられ、実践されているのかを理解し、自分でもそのような判断を応用できるようにすることで、ビジネス上でも大いに役立てられます。グローバルとパーソナリティ 教養の領域については、日本国内のものだけでなく、海外についても広く理解していくことができれば、よりグローバルな視点が広がります。さらに「今自分が言った意見や考えは、どの領域や判断軸によるものか」を自己消化できるようになれば、パーソナリティの安定や、周囲からの信頼も高まります。信条として持っている考えであれば、それが絶対的に正しいということではないので、自分個人の思いである旨を伝えれば、相手も納得してくれるはずです。また感情も、単に好きか嫌いだけではなく、もっと多くの種類の感情を豊かに表現することができれば、人間としても豊かな人だと感じられるようになるでしょう。 「論理、感情、直観、感覚」の4軸、「科学、推論、信条、芸術」の4領域の全てを早いうちに、フル稼働させることを意識して教養を身に付ける。そんな企業人が増えてくれば、もっとビジネスの世界が面白くなってくるのではないでしょうか。(図)感性的な人とは推論論理「正しいかどうか」による判断感情「好き-嫌い」による判断直観「ひらめき」による判断感覚「観察」による事実確認に基づく判断直感でひらめいたことが論理的に見て正しいかどうかを考える科学事実をデータなどで観察し、なぜそのような事実になっているかを論理的に考える信条直観で思うことを、感情で判断し、それを信じる芸術感覚器で捉えた色や形、音などから感情を引き出すビジネス・ブレークスルー大学グローバル経営学科教授、同大学大学院経営学研究科教授。明治大学大学院兼任講師や、株式会社タイムズコアの代表も務める。大学においては教養科目を、大学院では社会心理学と人材マネジメント論を担当。心理学的視点からの新しい人事・人材論について、育成、評価、採用等の観点に関する研究を実施している。また、研究成果に基づき、人事、人材制度の設計から運用、定着までの企業コンサルティング活動にも従事。川上 真史(かわかみ しんじ)16

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