IKUEI NEWS vol.79
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※2 通称GGI(Gender Gap Index)。経済、教育、政治、保健の4つの分野のデータから作成される、各国の男女格差を測る指数。最下位と、あまり芳しい成績とはいえません。女子大学の学長を務める私としては、社会で輝く女性をどんどん輩出していかなければ、と身が引き締まるような思いでいます。 社会で能力を発揮できる者を教養人とするならば、「社会で輝く女性は、教養ある女性」と言い換えることができます。そして私は、女子大学という環境は、教養ある女性を育むことに適している、と思っています。男性が不在であることで、女性を縛る「性的分業の意識」を排除できるからです。身体能力に劣等感を抱くこともなければ、甘えることもできない環境では、何もかも自分自身の力で切り開くほかありません。他人に頼らず学び続けているうちに、一種の差別ともいえる性的分業の意識は薄れ、自立心が培われます。女性だけで学ぶことも、一つの教養教育の在り方だといえるでしょう。 また女性は、出産という一つの能力を持っているので、男性と比べ、キャリア形成の手段が多岐に渡っていきます。「ワークキャリアだけでない、ライフキャリアの構築」という視点から、社会と関わっていくことをおすすめします。悩むことも多いかもしれませんが、その具体的に語ることは難しいです。ただ学生時代に、「学びの広がり」を肌で感じ、感銘を受けたことは今でも鮮明に覚えています。 私自身も東京女子大学の出身で、在学時は英語史を専攻していました。ドイツ史の科目も学び、英語史が文学や言語学など、さまざまな分野に関連していることを知り、隣接した領域もどんどん学んでいこう、と意気込んだものです。本学は当時からキリスト教の宣教師をはじめ、外国人の先生方が多く在籍していたので、知識欲はもちろん、多様な視点を得られる環境が整っていました。卒業後こそ他大学の大学院に進学しましたが、本学で得た教養教育の土台は、今でも私の中で生き続けています。教養を学ぶ女子は社会で輝く女性となる 昨今、日本では「女性が輝く社会」というフレーズをあちこちで目にします。しかし、2016年の「世界経済フォーラム」にて発表された日本の「ジェンダー・ギャップ指数(※2)」は、全参加国144のうちの111番目、G7では時に教養を学ぶ過程で身に付けた、自分自身の頭で思考する姿勢が役立つのだと思います。女性の社会進出を促す、教養から得られる力 女子学生の皆さんは、今のうちに自分の専門分野はもちろん、それ以外の科目も積極的に学び、自身の興味関心を広げていってください。法律や地域行政について学ぶのもよいでしょう。その後、数ある女性のキャリアから「就職」を選んだ方は、責任ある地位や、仕事のチャンスが巡ってきたときに、尻込みせずに飛び込んでください。女性が何らかの意思決定を行う環境に携わることで、社会はより良い方向へ向かい、より女性が輝ける日本社会が実現されることと思います。 また、社会との関わり方に迷ったときには、自分の頭で考えることに加え、同じように思い悩み、やがて自己実現を果たした女性たちを探してみるのもいいかもしれません。身近なロールモデルは、教養ある女性の背中をひと押しする、心強い味方になってくれる筈です。1970年東京女子大学文理学部英米文学科卒業。1973年東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程修了(文学修士)。1982年東京女子大学文理学部専任講師、1988年同助教授、1995年同教授。専門分野は英語史。1993年および2008年にロンドン大学にてvisiting scholar。大学院合同研究科会議議長、現代教養学部全学共通教育部長などを歴任。文部科学省大学設置・学校法人審議会大学設置分科会委員、(公財)大学基準協会大学評価委員会専門分科会委員および主査を務めた。現在、大学基準協会大学評価委員会委員、(一社)日本私立大学連盟常務理事、内閣府男女共同参画推進連携会議議員、日本私立学校振興・共済事業団非常勤理事。小野 祥子(おの しょうこ)12

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