IKUEI NEWS vol.79
14/36

※1 人の性質や能力を円満に育て上げること。学生の興味関心を広げる教養教育 東京女子大学は、女性が専門的かつ幅広い教養を身に付ける「リベラル・アーツ・カレッジ」として、1918年に創立されました。リベラルアーツ教育や教養教育というと、新入生のための基礎教育を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし教養とは本来、生涯を通じて学び続ける姿勢によって培われるものです。 本学では4年間を通じ、専門領域と同時に、幅広い分野を学んでもらう「全学共通カリキュラム」を置くことで、学生に「学びの広がり」を実感させています。このカリキュラムは、専門領域の間をつなぐパイプ役を果たしていて、学生はさまざまな学問分野への興味関心を持ちやすくなります。「学びの広がり」は、生涯を通じて学び続ける姿勢を養う教養教育の根幹なのです。学び続ける姿勢を持ち続ければ、社会人になってからも、直面するさまざまな問題に自分自身の力で対処することができます。教養教育とは、「人間を成長させる教育」だともいえるでしょう。 本学は創立100周年を迎える来年、「国際英語」と「心理・コミュニケーション」という二つの学科と、国際社会学科コミュニティ構想専攻を新設します。いずれも学生が能動的に学ぶ姿勢を養うことを目的に開設します。初代学長・新渡戸稲造が遺した教養の定義とは 本学の初代学長である新渡戸稲造は、「学問は人をリベラライズする」という言葉を遺しています。この言葉の解釈は、「物事を知れば知るほど、人間は偏見や差別意識から解放されて自由になる」ということです。これを踏まえて「教養」を定義付けるならば、「人間をさまざまなしがらみから解放するための学問」とでもいうべきでしょうか。だからこそ教養は大切であり、人生を通して学んでいく必要がありますが、それは決して並大抵の努力では身に付きません。漫然と学んで知識を蓄積しただけの人は、「教養人」ではなく、「物知り」でしかないからです。 新渡戸稲造は、「教養は、社会で実践してこそ意味がある」とも語っています。私は、「教養人」と「物知り」の差はここにあるのだと考えます。知識を得たところでその使い所を誤っていては、その人を教養人と呼ぶことはできません。高い志をもって、さまざまな偏見から自身を解き放ち、幅広い視点で社会のために能力を発揮する。このようにして教養人が育まれて行くのだと思います。人生を通して学び続け、高い志を持つために人格を陶冶(※1)する行為は、教養と切っても切れない関係にあるのです。脈々と受け継がれる教養教育の土台 「リベラル・アーツ・カレッジ」の学長を務めてはいるものの、私自身に果たしてどのような教養が備わっているのか、東京女子大学学長 小野 祥子教養は人生の選択肢を増やす大学生にとっての教養とうや11

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る