IKUEI NEWS vol.79
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ます。本の中で試練から立ち直るプロセスを間接的に体験して、いつか自分に試練が降りかかったときにも折れない強い心を培ってほしいのです。 思考力は、実際に他人と関わってコミュニケーションを重ねる中でも磨かれます。教養があれば相手の背景を理解し、相手に配慮ある態度で接することができる。相手を理解し思いやることができるのも、教養の表れだと思います。 そのため、校内でのコミュニケーションを大切にし、パーテーションなどの仕切りを作らず、全ての生徒や講師が触れ合える状態にしています。校内で夕食やおやつを一緒に食べ、時には海外からのゲストと食卓を共にするなど、年齢や立場を問わず皆で会話を楽しむ時間も設けています。人とのつながりを大切に異質なものとも関わりを持つ 私が教養を考えるときに最も大切にしていることは、「人とのつながり」です。出会いは一期一会ですから、出会ったからにはその人の存在を心のどこかにしまっておいて、機会に応じて積極的に声を掛けるようにしています。一つの出会いを大切にすると、次の出会いにも結び付きます。私がスやインスパイアにとどめる。これを徹底すると、自主的に勉強したがり考えたがる姿勢が育ちます。 小・中学生の指導では、知的好奇心を入口にすることを心掛けています。子どもには、どんな勉強もわくわくしながら取り組む感受性が備わっていますから、私たちは「きっかけ」を与えるだけです。例えば、タブレットで楽しく計算や漢字、プログラミングを学べるアプリを導入したり、喋る地球儀で遊びながら地理を学ばせたりなど。あくまで私たちは仕掛けを工夫する「演出家」で、学び取るのは子どもたちです。教養を育てるための「本」と「コミュニケーション」 思考とは言葉を働かせることなので、語彙を増やすために読書も重視しています。豊富な語彙を得るためには、できるだけ長編の書籍を、多分野にわたって読むことが有効だと思います。そのため、本校では歴史や伝記、小説などさまざまな種類の本を多数備えています。 読書は知識や語彙だけではなく、精神的な強さも鍛えてくれます。特に伝記や小説には、主人公が苦しい場面を乗り越えて立ち直るというシーンが必ずありこうして開校できたのも、協力を惜しまない友人とのつながりがあったからでした。 大学生の皆さんには、まず当然のことながら自分の学問をしっかり全うしてほしいと思います。そして、専門・専門外を問わず、色々なジャンルの本をたくさん読みましょう。 さらに、サークルやボランティアなど何らかの目的集団に所属して、人間関係を構築する経験をしてほしいと思います。その際、共通の趣味や相性の良さでつながる「同質な友達」だけでなく、進んで「異質な人たち」とも交わりましょう。 異質な人たちとの関わり合いの最大値として、留学にもチャレンジしてほしいです。無口で自己表現が苦手だった子も、留学を経て、自分の考えをはっきり発信できるようになって帰ってきます。異国での交流は教養を育て、人を大きく成長させます。 価値観の共有が難しい他者ともあえて関わり、自分と異なる価値観にも向き合い、柔軟な思考を育てることが重要です。自分と違う立場や考えを理解するのは面倒で難しいかもしれませんが、考えることこそが教養の本旨。これからの社会を担う皆さんにこそ、就活や試験対策だけではない思考力を身に付けてほしいと思います。愛知県生まれ。1987年に名古屋大学法学部法律学科卒業後、医療系総合商社勤務などを経て大学受験塾にて国語講師業務を11年間勤める。2013年に医学博士、飲食店経営者らとともに株式会社教養学舎を設立。翌2014年、知性創造学習塾「エコル・ア・パンセ」事業を開始。望月 馨(もちづき かおり)8

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