IKUEI NEWS vol.78
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他者と関わる大切さを説く、「with Others」の精神 上智大学の「春の新入生オリエンテーションウィーク」の一環である、オリエンテーション・キャンプ。あらゆる大学行事に先駆けて行われる一大イベントには、全学部全学科の新入生、約3000名全員が参加します。実施後のアンケートによると、参加者の8割以上が満足しているというこのキャンプは、キャンパスのある東京を離れ1泊2日の合宿生活を体験するというものです。 キャンプは3部構成。多くの学科では、1部は履修登録の方法など授業に関する説明、2部では新入生と教員の懇親会、2日目の3部では学科毎のグループ活動に取り組み、参加者同士がより密に交流を深めています。 「本学が抱く、学生に対する意識を新入生に知ってもらうことが、キャンプ開催の目的の一つ」と語るのは、理工学部の教員と学生センター長の立場を兼任する神澤信行教授。カトリックイエズス会の教育理念と共通する「Men and Women for Others, with Others(他者のために、他者とともに)」という教育精神が、キャンプにおいて重要な役割を果たしているようです。導くことが、ヘルパーの役割です。入学式でのキャンパス案内や、キャンプに関わる事前準備を含めたさまざまな業務など、彼らの仕事は多岐に渡ります。決して楽ではありませんが、自らが新入生だった頃に感じた『上級生の有難み』を、後輩にも味わってもらいたい、という意思をもって励んでくれています。他者とのつながりを重んじる、『for Others, with Others』の精神は、長い年月をかけて、学生から学生へ受け継がれているのです」。 キャンプのもう一つの特長として、教員の参加が挙げられます。教授は勿論、学長も会場に赴き、新入生の前で講義を行っているのだとか。「困ったとき気軽に頼れる、学生の側にいる存在」という、上智大学における教員の在り方がうかがえます。 新たな仲間の入学をきっかけに、学生のさまざまなコミュニケーションを促すオリエンテーション・キャンプ。最後に、大学が学生のコミュニケーションを支援することの意義について、神澤教授にうかがいました。 「現代の学生には、『嫌われ過ぎず、好かれ過ぎず』のバランスを保とうとする者が多く、良くも悪くも、深い関係が築き難くなっています。しかしコミュニケーションの楽しさは、互いに一歩踏み込んだ時にこそ生まれるもの。さまざまな行事を開催する大学は、学生が忘れかけていた『踏み込む力』を呼び覚ます環境として、非常に適していると思います」。 「『with Others(他者とともに)』の言葉には、他者への奉仕だけではなく『いつもあなたの傍にいます』という語りかけを感じます。互いを高め合う関係性の大切さを知ることは、何もかもが初体験・初対面の新入生が、能動的な友達作りに励むきっかけになると思います」。コミュニケーションの楽しさを呼び覚ます、「踏み込む力」 キャンプの運営には、「ヘルパー」と呼ばれる上級生が携わっています。ヘルパーの活動は完全なボランティアにも関わらず、毎年多くの上級生が自分から名乗りを上げているとのこと。上智大学におけるヘルパーと新入生の関わりについて、神澤教授にお話いただきました。 「入学から授業が始まる日まで新入生を学生のリーダーシップ養成を目的に、1959年に「リーダーズ・キャンプ」として始まったこの取り組みは、1966年、新入生がすぐに大学に馴染めるよう「オリエンテーション・キャンプ」として再スタートを切りました。長い歴史の中で脈々と受け継がれていたものは、「他者のために、他者とともに」生きることの大切さでした。SNSの発達により失われかけた、「リアルなコミュニケーション」に対する思いをお聞きしました。上智大学 オリエンテーション・キャンプ 51年受け継がれる、「他者とともに」ある喜び明日への視点かけがえのない友達をつくる自分を育てる学生生活の過ごし方19フランス文学科のオリエンテーション・キャンプの様子。理工学部の神澤信行教授。19

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