IKUEI NEWS vol.78
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明日への視点かけがえのない友達をつくる自分を育てる学生生活の過ごし方19「親友」と呼べる存在がもたらすもの寄稿●4須藤 春佳神戸女学院大学 人間科学部 准教授親友は人生における貴重な財産となる人生のある時期を共にし、お互いを支え合う。大学・大学院時代は親友を作りやすい最後のチャンス。親友とはなにか? 「親友」というと、どのようなものをイメージするでしょうか?広辞苑を引くと、親友とは「信頼できる親しい友、仲のよい友人」とあり、「心友」(心を許し、深く理解し合っている友)も出てきます。「無二の親友」という言葉があるように、かけがえのない友人という意味も込められているようです。 私の専門は臨床心理学ですが、この分野で「親友」の意義について唱えた人といえば、アメリカの精神科医サリヴァン(Sullivan H.S.)です。サリヴァンは、人間が発達する過程で、ある時期から同性同年輩の者同士で結ぶ親友関係(チャムシップ)が出現すると言いました。その時期とは前思春期といって、個人差はありますが、思春期の直前にあたる9歳前後から始まり、「自分とはいったい何者だろうか?」、「地球の裏側はどうなっているの?」など、それまで当たり前に考えていた自分や周りの物事に疑問を持ち、一歩引いてみるようになる発達的な転換点といわれています。 そんな時に出現するのが、親しい同性友人の2人組からなるチャムシップで、秘密基地を作ったり、想像の世界を共有したり、自分の大切なものを互いに確認し合ったりするのですが、ここで行われるコミュニケーションによって、それまでに子どもが身に付けた発達的な歪みが矯正されるといわれています。サリヴァンは「前思春期においては自分が非常に相手に近づき、相手の目で自分を眺めるという新たな能力を持つようになるので、人格発達上、前思春期は、自分自身にせよ、自分以外の人々にせよ、それらについての自閉的幻想的な考えを訂正する上で特別に重要な意義を持つ」と言っています。前思春期は「自分とは何か?」を問い始める時期であることから、同性同年齢の自分に似た相手に関心を持つようになり、その人の考えやその人から見た自分の姿というものに非常に関心が高まるといえます。だからこそ、この時期に「親友」を求める心が現れるのだと思われます。「親友」とは、自分を映し出す鏡のような存在なのです。現代青年の友人関係 では、大学生の時期の友人関係はどうでしょうか?榎本(1999)は、中学生、高校生、大学生を対象に、友人関係の発達的な変化を調査していますが、男子は友人と遊ぶ関係の「共有活動」からお互いを尊重する「相互理解活動」へと変化し、女子は友人との類似性に重点をおいた「親密確認活動」から他者を入れない絆を持つ「閉鎖的活動」へと変化し、その後「相互理解活動」へ変化することがわかりました。男女で違いはありますが、大学生になると互いを理解し合う関係へ落ち着くようです。17

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