IKUEI NEWS vol.78
19/40

谷田川 ルミ(やたがわ るみ)1969年千葉県生まれ。2011年上智大学大学院総合人間科学研究科教育学専攻満期退学。博士(教育学)。立教大学大学教育開発・支援センター学術調査員を経て2013年より現職。専門は教育社会学。大学生調査の分析を中心に現代の大学における学生支援、キャリア支援について研究している。著書に『大学生のキャリアとジェンダー ―大学生調査にみるキャリア支援への示唆―』(学文社)など。1年生の時のみならず、大学生活を通して、授業内のグループワークでの出会いを大事にしてほしいと思います。 授業だと、普段なかなかできないような硬い話題の議論をする機会があると思います。そういう場でこそ、本音で話せたり、表面的な付き合いでは見えないようなメンバーの一面を見ることができたりします。他学部、他学科、他学年の人たちが一緒のグループにいたら、さらにチャンスだと思ってください。「袖触れ合うも多生の縁」と言いますし、「知らない人だから」と切り捨てずに、気が合いそうな人には学内で合った時に挨拶をする、声をかけてみるなどして、縁をつないでいくというのも一手だと思います。2年生、3年生、4年生になっても常に新しい出会いを受け入れてほしい。限定された友人関係を固定してしまうのはもったいないと思います。多様な人たちとの付き合いの中で自分自身を知る 話が変わりますが、昨今の社会では、若者たちに自立性、主体性が求められています。他者と協働する授業が増えたのも、こうした力を伸ばすことを大学が求めているからでもあります。 自立性や主体性は、何もかも一人で決断して一人でやることを意味しているわけではありません。集団の中で自分の役割を認識し、お互いの考え方や価値観を認め合うことができることが重要なのです。例えば、助けが必要な時を自分で判断して、助けを求めることができる。また、誰かから助けを求められたら、できる範囲で手を差し伸べることができる。そのためには日頃から自分に「できること」と「できないこと」をきちんと整理しておくこと、すなわち「自分を知る」ことが重要です。 一人で自分のことだけを考えていても、自分を知ることはできません。自分とは異なる属性を持った他者と交わり合うことによって、はじめて自分を知ることができるのです。よくネット通販などで注文したものが届いたとき、想像していたよりも大きかったり小さかったりして驚くことがあります。画面の中で比較するものがない状態で1つのものだけを見ていると、こういうことになってしまいがちです。人間だって同じです。多くの人と混ざり合ってはじめて、自分自身が見えてくる。そして同時に、他人のことも受け入れることができるようになります。すなわち、幅広い友人関係の中においてこそ、社会で求められているさまざまな力を磨くことができるようになるのです。 一方で、友人関係の築き方は人それぞれでもあります。広い付き合いを好まない人、一人でいることの方が好きな人も存在します。こうした志向や価値観を認め、共存するということも、多様な人たちとの交流から見えてくることだと思います。 皆さんには大学生という「自由」な時間と、大学という「自由」な場を有意義に使って、年齢、性別、出身地、国籍など、自分とは異なる属性の人たちと関わる機会を多く持ち、豊かな大学生活を送ってほしいと思います。16

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る