IKUEI NEWS vol.78
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明日への視点かけがえのない友達をつくる自分を育てる学生生活の過ごし方19友人関係におけるストレスの対処法寄稿●2加藤 司東洋大学 社会学部 社会心理学科 教授良好な友人関係には、まずは否定を受け入れること否定を恐れ、肯定しか受け入れられない近年の若者。対立を避け続ける友人関係が、やがてはストレスになってしまう。否定されることを受け入れられない近年の若者 大学生が友人関係で経験するストレスは、時代によって変化しています。友人関係のストレスには「嫌われていないか気になる」「親しくなるために努力する」なども含まれていますが、「軽蔑される」「ケンカする」「責められる」、そのような経験をしたことのない大学生が、15年ほど前から増えています。言い換えれば、大学生は、否定されたり、否定的態度を取られたり、そのような経験をする機会が少なくなっています。新入社員の早期離職の主たる原因として、10年ほど前から話題になっている「上司に注意・叱責されたこと」と相通ずる所があります。就職活動で不採用になったことを自分が否定されたと捉え、極端に落ち込む傾向も同様です。つまり、大学生は自分に対する否定的態度や評価に対して脆弱なのです。 このような状況はさらに進行し、5年ほど前から、肯定的意見や態度以外は受け入れることができない若者たちが増加しています。いわゆる「ほめられ世代」です。ほめられ世代と言っても、肯定的評価に対して喜びを感じるというより、それ以外は受け入れられないと言った方が正しいと思います。肯定的に対応されることが当たり前で、否定的意見や態度を拒絶するのです。例えば、LINEの返信がすぐに来ないことを不愉快に感じたり、ゼミなどでの議論で、まずは相手の意見を褒める発言をすることが当然だと思ったり。すぐに返信が来ないことは否定的態度ではないのですが、そのような行為が許されないのです。このような傾向は、人間関係に否定的影響を及ぼすだけでなく、うつ病を含めた望ましくない精神的状態とも関係しています。ストレスの解消は人間関係を良好に保ちつつ このような友人関係にうまく対応するには、どうすればいいのでしょうか。その議論をする前に、私の研究について少し話をします。私はストレスに対する対処行動(コーピング)、特に人間関係で生じるストレスの研究をしています。コーピングはストレス解消方法で、いろいろな方法があります。「カラオケに行く」、「友達に愚痴を言う」、「ストレスの原因を考える」、「その原因を解決するために努力する」。コーピングの結果、ストレスが解消されることもあれば、悪化することもあります。ストレスが解消されれば良いというわけではありません。ストレスを感じる友人と絶交すれば、ストレスはなくなるかもしれませんが、人間関係は悪化するかもしれません。ストレスを和らげるだけではなく、良好な人間関係を維持・形成できるコーピングが望ましいコーピングです。対立を避けるコーピングがもたらす悪影響とは さて、友人関係に話を戻しましょう。否定的意見や態度に敏感な大学生が増えている現状では、13

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