IKUEI NEWS vol.78
13/40

 まず、自己を肯定することにより、自分に少しずつ自信がついていきます。今まで自分に自信がなく内向的だった人でも、今の自分を認めるように考え方がシフトすれば、自分を良く見せようと無理をすることもなくなり、外部との交流に気負うこともなくなります。そのままの自分でコミュニケーションができるので、結果的に信頼できる友達を作ることにもつながります。 また、本には大学やインターネットにはない広い世界が広がっています。過去の、あるいは現存する多くの偉人たちも、もしかしたら自分と同じ考えや悩みを持っているかもしれません。読書は、論理的な思考や自分で考える力を鍛えるだけでなく、安心感をも与えてくれます。 そして、外部からの情報や人間関係を意識的に遮断して、一人でいる時間を作ることは、一種のストレスマネジメントにもなります。現代社会の過多な情報やコミュニケーションによる刺激で、多くの人の脳と心は疲れ切っています。一人の時間や空間は、自分を休める場所であり、エネルギーを蓄える場所。つらくなったらいつでも逃げ込める拠り所を作っておくという意味でも、孤独力を鍛える時間は必要なわけです。つけるトレーニングの第一歩です。 孤独力を鍛えるためにしなければならないことは、大きく分けて2つです。 まず1つ目は、「自己内対話」。哲学では、自分の中にもう一人自分がいて、最初の友達は自分だといいます。まずは、一人になって自分自身と対話し、自分と友達になりましょう。自分はこんな人間だということを理解し、長所も短所も含めて、ありのままの自分を肯定するのです。 もう一つは、本を読むことです。私は、自分自身に次ぐ第二の友達は「本」だと考えています。本は、自分が会いたい時にいつでも会いに行って、いつも自分に心地良いことを言ってくれる、都合の良い友達になってくれます。本を読む習慣をつけてお気に入りの本を見つけていくことは、心を許せる友達が増えることと同じです。 孤独力をつけるには今までの価値観や習慣を変える必要がありますので、もちろん一朝一夕で身に付くものではありません。継続は大変ですが、粘り強く続けることで孤独力は高まっていきます。孤独力によって得られるメリットとは 孤独力を鍛えていくと、さまざまなメリットがあります。一人ぼっちは決して悪いことじゃない 孤独力をつけるには、まずは1日30分でいいから、全てを遮断して一人でいる時間を作ること。その中で自分自身と友達になって、自分への自信をつけて下さい。学生の皆さんにはその自信を強固なものにするためにも、何か一つ得意なことを作ってほしいと思います。自分を見つめ直していると、短所ばかりが気になって直したくなりますが、そうではなく、まずは長所を見つけて伸ばしていきましょう。短所を直すよりもずっと楽にできるはずです。 読者の大学生の皆さんに何より言いたいのは、「一人ぼっちは悪いことじゃない」ということ。周囲から一人ぼっちだ、内向的だと言われても良いのです。孤独は、自分を守る最大の防具。むしろ、この社会で一人になれる空間や時間を持つことは、幸せなのです。 友達はいらないわけではありませんが、信頼できる人が少数いれば十分です。無理して輪に飛び込んで、沢山の友達を作ろうとする必要はありません。孤独力をつけて、自分のペースで本当に信頼できる少数の友達を作っていけば良いと思います。1946年岐阜県生まれ。名古屋大学工学部を卒業後、東芝総合研究所を経て、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学で保健学博士取得後、ハーバード大学公衆衛生大学院の客員研究員となる。椙山女学園大学文化情報学部教授を経て、現職。専門領域は公共経済学。武長 脩行(たけなが のぶゆき)10

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る