IKUEI NEWS vol.77
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係ないと思っていた」と言う。だが、彼の専門職より、CPAという実際的な免許の方が重宝がられるだけでなく、アルバイトもできるため、経済的に恵まれることが多いのを知って、ピンはいま、自分の住むコネチカット州の短期大学の夜間に通って、CPAの免許をとる勉強をしている。「免許やライセンスが昔より重要になっているようだ。振り出しに戻ったような感じだ」と言う。サーティフィケートの台頭 なぜ、いま、サーティフィケート(※1)取得が台頭してきているのか。一つには、ピンが米国に来た頃には、いまのような大学卒の就職難はなかった。いま、米国では、リベラル・アーツ(一般教育科目)を勉強した大学卒業者の就職難が問題になっている。いまだに燻る経済不況が原因の一つではあるが、その他に、第二の産業革命といわれる、社会の重要な生産部門のウエイトが、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学) 教育の取得者に移行してライセンスの重要性を感じた、ある中国人男性の話 ニューヨークのあるIT会社で経理部の中堅幹部として働いているピン・エクシは、15年前に留学生としてカリフォルニア大学に入るために中国からやってきた。優秀な成績で大学院まで卒業し、シリコンバレーの会社を経て、現在の職場を獲得した。仕事自体に不満はなかったが、彼が米国にやって来た夢の一部は、いまだ満たされない。「米国の企業は中国の企業より給料が高く、出世も早いと聞いていた。だが、いまでは中国に残っている友人たちの給料の方が僕よりずっと高い。また、昇格も早く、社長になった友人もいる」と言う。 ある日、彼の給料が自分の下で働いているCPA(公認会計士)とほぼ同じだということを知った。「大学でも、大学院でもCPAの免許を取る短期間のカリキュラムはあったが、その必要を感じなかった。CPAは短期大学卒業生が取れる免許で、自分の経理監査という専門とは関楓 セビル青山学院大学英米文学部卒。電通入社後、クリエーティブ局を経て1968年に円満退社しニューヨークに移住。以来、アメリカの広告界、トレンドなどに関する論評を各種の雑誌、新聞に寄稿。著書として『ザ・セリング・オブ・アメリカ』(日経出版刊)、『普通のアメリカ人』(研究社刊)など。翻訳には『アメリカ広告事情』(ジョン・オトゥール著)、『アメリカの心』(共訳)など多数あり。『日経マーケティング・ジャーナル』、『ブレーン』、『消費と生活』、『AD・STUDIES』、『日経広告研究所報』などに連載中。大卒就職難とサーティフィケートの台頭アメリカン・キャンパス・ライフ ※1 特定の課程や科目を修了して知識・技能を修得したことを証明するもの。免許状。米国の学生にとって、コンピュータはノート代わり。勉強もリサーチもコンピュータで行う。21

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