IKUEI NEWS vol.77
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稼いでいる人は皆、合格後も学び続けている だったら話は早い、資格を活用している人が持ってる資格を取ればいい…いや、そうは問屋が卸さない。アンケートの回答をチェックしてみると、資格を活用している人もできていない人も、保有する資格にはほとんど違いが見えてこない。つまり問題は、どんな資格かではなく、「どのように」資格を選ぶか、なのである。 資格を活用している人には大きな共通項がある。それは、資格取得後も学び続けていることだ。 考えてみると当たり前だろう。資格は専門家の証。「ペーパードライバー」をあえて雇用する企業はない。あなたが病気をしたとき、数十年前に免許を取得して以来知識をアップデートしていない医者にかかろうとするだろうか。合格は決してゴールではなく、単なるスタートラインにすぎないのだ。 稼いでいる人にとって、最新情報を調べることも、難しい案件に取り組むことも、実はあまり苦になっていない。彼ら/彼女らは、資格の勉強の過程で、その資格が必要とされている理由や社会の中で果たしている役割を肚に落とし、そのジャンルの「学習を楽しむ能力」を身に付けているからだ。 一方で、「合格まで歯を食いしばって耐え忍んだ人」「無駄なことはしたくないと最短経路を選んだ人」は、学習を楽しむ能力が身に付いていない。合格後に学習や経験を継続させにくい、厳しい言葉で言えば、最も稼ぎにくい人、ということになる。苦労したのに、いや、苦労したからこそ報われない。キャリアを重ねていく上で、最も避けたいリスクの一つである。頼りになるのは自分自身の〈主観的な評価〉  では、どうすればそのようなリスクを避け、継続して無理なく学び続けられる、将来にわたって活用できる資格を選ぶことができるのか。 簡単なことだ、実際に体験すればいい。興味を持った資格があれば、問題集やWeb上の例題をやってみる。対策講座の体験会や説明会があれば足を運んでみる。そして興味が増したら、本格的に学習を開始する。コツを掴むまでに時間がかかることもあるのでしばらくは頑張ってみる必要はあるが、いつまでも苦になるようなら撤退を決めよう。 無駄?決してそんなことはない。こうした姿勢で臨んでいれば、撤退した経験そのものも将来の糧にすることができる。そしてリスクといっても、自分に合った仕事を探して転職することに比べれば非常に小さなリスクである。学生時代ならなおさらだ。 資格を選ぶ際に気を付けたいのは、人気ランキングや識者のおススメ、あるいは「大学で無料講座がある」といった、客観的な理由だけで決めないようにすることだ。どんなに平均年収が高くとも、どんなに人事担当者が評価していても、自分が活用できるかどうかは別の問題。こうした情報は未知の資格を知るきっかけ、と割り切り、まずは実際に体験に向かおう。そして、主観的に判断する。学んで面白いと思うかどうか、学んで得た知識を友人や家族にひけらかしてみていい気分になれるかどうか、学習の過程でできた友人たちと話してて楽しいかどうか…。こうした自分の「主観的な評価」こそ、最も優先すべき、最良の評価手段。ぜひ、活用いただきたい。乾 喜一郎(いぬい きいちろう)1967年大阪市生まれ、東京大学教養学部卒業。『稼げる資格』『社会人&学生のための大学・大学院選び』などで構成する『ケイコとマナブムックシリーズ』編集長。一貫して進学・就職・転職といったキャリアに関する領域に携わり、2006年より現職。資格取得者や社会人大学院生など、これまで取り上げてきたライフヒストリーは3000例に及ぶ。社会人の学び直しの専門家として文部科学省の各種有識者委員を歴任。GCDF-Japanキャリアカウンセラー、日本キャリアデザイン学会会員、白百合女子大学非常勤講師。はら12

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