ikueinews vol76
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 人材開発のトレンド 「経験学習」とは 本日お話するテーマは「企業の人材育成のトレンド」です。これを語る上で押さえておかなければいけないワードが、「経験学習」。経験学習とは、自ら動いて得た経験を元に自分の能力を高めていくとともに、そのときの経験を振り返って明日につなげていく、という未来志向の考え方です。この経験学習は、今回のフォーラムの「経験で終わるな、メタに上がれ!」というテーマと近い概念だと思います。 経験学習について語るにあたり、共有しておかなければならないのが、経験の哲学者ジョン・デューイの人間観です。彼は、人間とは「知識を貯め込む容器」ではなく、「能動的に動き、他に働きかける存在」である、と提唱しました。人は能動的で、働きかけたところに「経験」が生まれるというわけです。そして、知を形成するのは、経験に対する反省、「リフレクション」だとデューイは言います。人は、経験そのものから学ぶのではなく、リフレクションから学ぶのです。 デューイは、「経験の論理的分析」と「結論」を重視しました。経験を単に振り返るのではなく、論理的に分析していく。そこから「結局次から何をするのか」という結論を導いていくことがリフレクションであり、重要なポイントです。 視界不良な現代社会は 経験学習を求めている デューイが経験の大切さを語ってから70年後、ようやく企業教育の世界に経験学習が入ってきました。組織行動学者のディビット・コルブが経験学習をサイクル論で表現するなど、分かりやすく翻訳された経験学習は、今世紀になって、爆発的にあらゆる業界へ普及しました。 普及と同時に、表面的で浅い「むごいリフレクション」が生まれてしまいました。そこから経験学習の議論は、「いかにして振り返りのスキルや「企業人事のすすむ道: 経験で終わるな、メタに上がれ!」東京大学 大学総合教育研究センター 准教授 中原 淳講 演5

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