ikueinews vol76
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「伝える」と「言う」は似て非なるもの 今日は「伝え方のコツ」についてお話していきます。現代は多様性社会と呼ばれ、人種や価値観の異なる人々が入り交じっています。この環境は、皆さんが社会に出て活躍する5〜10年後には更に広がっていることでしょう。その中で、自分の意見を「伝える」のはとても難しいことです。社会で皆さんの力を十分発揮できるよう、今日の話を役立ててください。 まず大前提として「伝える」と「言う」、この二つは似ているようで全く異質なものです。皆さんは先日の参議院議員選挙での、各候補者らの街頭演説を聞きましたか。そして理解できましたか。この街頭演説は、自らの公約を人々に理解してもらうことで初めて意味を成します。相手が理解できるように話す、これが「伝える」ということです。ただ漫然と話す行為、それは「言う」でしかありません。相手を知り、「伝えたいこと」との接点を見つけよう 「伝える」、すなわち相手に理解をしてもらうために必要なコツは、①伝えたいことをまとめておく、②相手のことをよく知る、③伝え方を工夫する、④相手の理解のレベルに合わせる、以上の4つです。 この中でも特に重要なのが②です。相手の国籍、文化、年齢、知識、日々の関心ごと等々、とにかくよく知ってください。我々は、自分が伝えようとしている事柄に、相手がどの程度関心を持っているのかを見落としてしまいがちです。しかし、この視点がまさに、多種多様な立場の人々にものを伝えるために必要不可欠なのです。相手を深く知ることができれば、相手の関心と自分の伝えたいことの接点が見つけやすくなります。これは、③の伝え方の工夫へとつながります。相手によって、使う言葉を選ぼう 我々が発する言葉は、自分が思っている通りに相手に伝わるとは限りません。そのため、④相手の理解のレベルに合わせることも大切です。これは無意識の内に皆さんが実践していることかもしれません。 例えば、皆さんが子どもに何かを伝えようとするとき、同じ目線に立ち、簡単な言葉を使って話そうとすると思います。これが、相手の理解のレベルに合わせるということです。相手に寄り添い、言葉をうまく選んでいくことで、理解を得やすくなります。「伝える」リスクを知った上で、楽しい情報発信を 多様性社会では、不用意な情報発信が、思わぬ結果を招くことがあります。日本では「可愛らしい犬」は誰からも愛される存在として認識されており、それを広告表現に使うことは「鉄板」ですが、イスラム圏の国々においては「犬=不浄な動物」という考えが根強く、日本の常識が通じません。 自分の中の常識に固執すると、相手に嫌悪感を与えたり、傷つけてしまう恐れがあります。伝える際には何らかのリスクが生まれるかもしれない、ということも心に留めておいてください。「伝える」ということは、とても楽しく価値のある経験です。今日お話したことを意識して、皆さんも自分の考えや情報をどんどん伝えていきましょう。「伝える」とは理解を得ること まずは相手のことをよく知ろう1965年生まれ。1989年㈱電通に入社し、3年間のストラテジック・プランナーの経験を経て、クリエーティブ部門に転局。東京本社のほかに、九州支社、ロンドン、シンガポールにそれぞれ赴任。主な仕事は、自動車・電機・食品などのグローバルブランドの国内外作業。手掛けた広告は、TCCグランプリ、読売広告大賞、London International Awardなど、国内外の広告賞を多数受賞している。2016年 大学院生セミナー 講演多様性社会の中の「伝えるコツ」有利 英明(株)電通 第5CRプランニング局戦略クリエーティブ・ディレクターありとし32

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