ikueinews vol76
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過酷な兵役の中で得たもの 大学在学中の印象的なことはやはり兵役です。日本の大学生の皆さんとの最大の違いだと思います。徴兵制のある韓国では、通常大学1年生か2年生の頃に、大学を休学し兵役につきます。私も、2年生の前期が終わったところで休学して2年半、空軍で兵役につきました。 もともとインドア志向だった私にとって、兵役は毎日が地獄のようでした。訓練はかなり過酷です。例えば、30㎏の荷物と銃を持って山道を一晩中歩き回る。防毒マスクを被って、稀釈した毒ガスを吸う。射撃はもちろん、テコンドーの訓練もありました。以前、司法研修で日本の刑務所を見学したことがあるのですが、韓国の軍隊よりも良い待遇だなと感じてしまったくらいです(笑)。 しかし、兵役もつらいだけではなく、得たものもあります。精神面や肉体面が鍛えられたのは勿論ですが、何より自分たちの日常の安全や、家族の存在が当たり前でないことを、身に染みて感じました。 さらに、空軍は比較的自分の時間が取れたため、日本語の勉強をし、兵役中に日本語能力試験1級を取得できたことは自分でも誇りに思います。結果よりもプロセスを大事に努力を重ねていこう 私がここまで勉強を頑張れた理由は、こうなりたいという「結果」よりも、一度決めたことをとことんやり尽くすという、「プロセス」に重きを置いていたからです。「やれるだけやった」と誇れるくらいまで頑張り、結果は天に任せるという、「人事を尽くして天命を待つ」精神を大切に、何事にも取り組んでいます。 実は、司法試験においても、この精神が役に立ちました。合格発表の日、親と一緒にインターネットで結果を見ようと、私は韓国に戻っていました。手元には、受験票から書き写してきた受験番号の控え。受験票は無くすと大変なので、日本に置いてきていました。そして、いざ時間になって番号を調べると、番号がない。 しかし、私は挫折を一切感じませんでした。これ以上ないくらいに頑張ったという自負があったからです。周囲の家族や、当時彼女だった妻も、私の努力を認めてくれていて、「来年は合格するように」といった結果を求めるようなことは決して言いませんでした。 結局、私が受験番号を控え間違えていただけで試験には受かっていました(笑)。しかし、この経験を通して、過程を頑張ることの価値を再確認しました。 奨学生の皆さんにも、結果よりも、過程を必死になって頑張ることを大切にして欲しいと思います。やり尽くした後に感じる、達成感を楽しみにしながら、頑張ってください。結果がうまくいかなくても、その頑張りは必ず自分の血肉となっていくはずです。神戸大学留学時代にポートアイランドの寮にて(右端)。法科大学院時代の親友と(右端)。29

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