ikueinews vol76
31/40

お手伝いがしたかったから」と金さんは話してくれました。言葉のハードルを越えた今も日本語能力を極め続ける 生まれも育ちも韓国の金さんにとって、日本で弁護士になるには当然「言葉」という壁が立ちはだかっていました。文章と言葉が仕事の死命を制する弁護士という職業。専門用語も多く存在し、日本人でも難解な言葉が多くあります。日本語能力を向上させるには「相当な努力をした」と金さん。 「仕事はもちろん、司法試験では短時間で長文を読み、答案を書き上げる能力が求められます。日本語での会話は、日本で暮らし、人と話すことで自然と身につきますが、法律用語を読み、書く能力はそうはいきません。何度も壁にぶつかりながら、それでも諦めずに、日本語の読み書きに取り組んだことが、日本での弁護士資格取得に結びつきました」。 兵役中に日本語能力試験1級を取得、司法試験にも合格したほどの高い日本語能力を持つ金さん。それでも言葉については苦労が絶えないとか。 「この法律事務所には超優秀な弁護士たちが集まっています。そういった人たちとしっかり仕事をしていくには、極めて高いレベルの日本語能力が要求されます。周囲のレベルに合わせるためには、私の日本語はまだまだ足りないところがあると感じて、日々精進しています」。一人前の弁護士になることを目指して 金さんの主な仕事内容は、企業のM&Aなどに関わる契約書の作成や交渉など、ビジネス関連のデスクワークが中心。この分野を選んだ理由について、金さんは次のように語ります。 「企業の将来を見据え、お互いにWin-Winになれる方法を考えていくという点が、クリエイティブで面白いと感じました。法廷にて過去の事象について議論するよりも、将来に向けて新しいものを構築していくことに関わるということにひかれましたね」。 もちろん韓国人であることを生かし、日本企業と韓国企業の契約交渉などの通訳をすることも多くあります。通訳だからといって「単純に言葉を訳すだけではない」と金さんは言います。 「日本と韓国では、文化や企業風土に違いがあり、その国の人の立場で考えなければ真意は伝わりにくいものです。日本と韓国、両方の立場が理解できる私が通訳に立つことで、互いに理解が深まり、良い方向に話がまとまった時には、とてもやりがいを感じました」。 現在、韓国人の奥さんと1歳になるお子さんと多忙な日々を過ごしている金さん。今後は、「日本以外の海外のことも学んでみたい」と話します。 「将来は、当事務所の留学制度を利用して、英語圏の国へ留学したいです。仕事内容も、エンターテインメント業界など色々な分野にチャレンジしてみたいと考えています。しかし、働き始めてまだ間もないため、とにかくまだまだ勉強することが山ほどあります。当面は、M&A分野で一人前の弁護士になることを目指します。険しい道ですが、この事務所で他の優秀な弁護士たちと切磋琢磨し、頑張っていきたいと思います」。28

元のページ 

page 31

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です