ikueinews vol76
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のは大きな間違いです。個人で発想力があり、いくつかの分野を横断して新しいことを提案できるような能力を育てないと、日本の将来を支えきれません。そう遠くない将来、現在の産業、職業の半分以上はその役割を終え、消えてしまう可能性があります。だから、今あるものではないものを、今見えてないものを発想する力がこれから求められると思います。そんな時代に、今の体制、職業に、まい進するような人材をいくら育てても将来はつくれないと思います。-----では、そのために京都大学はどんな役割を担っていかれますか。 新しいことを面白いと思える学生、自分も新しいことを考えたいという競争力ある学生、新しいことを考えつくことに喜びを感じる学生を育てたい。そのために、昨年から始めたのが「学生チャレンジコンテスト」です。 大学生や大学院生のチームあるいは個人が考えた研究や活動の新しい企画を、ウェブサイトを通じて、クラウドファンディング(※)で市民からの寄附を募ります。今までの研究者は科学研究費助成事業に応募、あるいは省庁の助成金に応募するのが常識でしたが、これは市民に協力を求めようという新しい発想です。寄附総額の上限は50万円まで。その寄附金で活動をして、成果をウェブで公開します。 発想の源は「産業とは市民相手のもの」。自分の研究がどう社会に役立つのか、あるいは社会の人たちから支持されるのかを直接体験できます。現在6プロジェクトが進行中です。おかげさまで市民からのファンドはほとんど満額。勿論、ウェブでの呼びかけですから京都だけに限った話ではありませんが。「良いエリートを育てること」が京都大学の最大の使命 例えば、研究の一つに「無音ストローの研究」があります。ストローで飲み物を飲むと最後ズズーッと音がする。これを消す研究です(笑)。もう90%成功していますね。 今年の4月から始めた「おもろチャレンジ」は、海外の大学へ学びに行くという既成の留学の常識を破り、海外でのフィールドワークを支援する制度です。ただし、どこで何をするのかという企画から、相手先との連絡、安全確保もすべて自分で行うのが条件です。この厳しい条件下でも、30人の募集枠に対して140名もの応募がありま学賞、化学賞のいずれも大きな資金を投じる組織ぐるみの研究、というよりはアイデアです。最近のiPS細胞研究も、まさに発生学を応用し個人研究を長い間続けた結果、新しいものに結びついたわけです。 研究の最小単位は個人です。個人の競争力を組織的な競争力にしてしまうと、個人の競争力が減退するのではと危惧しています。京大的な発想・研究をもっと伸ばしていくためには、小規模でも個人の研究に力を入れるべきと思いますし、時代はその方向に進んでいると思っています。 日本の産業での人材育成が、組織に尽くす人を育てようとしている※不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと京都大学百周年時計台記念館の入口。25

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