ikueinews vol76
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それが国際的な賞を受賞できる成果につながっているのだと思います。 もうひとつの特長はフィールドワーク。日本という枠の中だけではなく、広く世界に目を向け、未知の分野を積極的に、自分の手と足で切り拓いていく精神に満ちている。京都大学の特長はこの二つですね。-----フィールドワークについてもう少し詳しくご紹介ください。 京都大学には日本国内に29の附置研究所・センターを含む教育研究施設等があり、アジア・アフリカを中心に57の海外研究拠点を持っています。多くの附置研究所・センター等があることを利用して、学生に学問分野の多様性と先端性を経験させる機会を作っています。 その機会が、ILASセミナーです。さまざまな分野で実際に活躍している研究所・センターの方々が中心になって、フィールドワークや実験、あるいは討論など、新入生対象の少人数セミナーを実施しています。そういう中で学生は高校時代とは全く違う学び方や研究分野に触れ、その後、教養教育、基礎教育を経て、専門分野に緩やかに移行することができるのです。-----総長がお考えの京都大学の特長についてお聞かせください。 京都大学は、皆さんご存じのように過去9名のノーベル賞受賞者を輩出し、数学者のすぐれた業績を顕彰するカナダのフィールズ賞は2人、アメリカ医学会最高の賞であるアルバート・ラスカー基礎医学研究賞も受賞しています。国際賞に関しては日本随一の受賞実績を誇っていますが、その原動力は「創造性」だと思います。「他の人にはできないことをやる」が根本ですが、単に目新しいことを考えつくだけではダメで、じっくり腰を据えて考えるという姿勢が大切なのです。 京都大学の伝統である「対話を根幹とした自学自習」を進める中で、新しい発見があり発想が生まれる。対話を根幹とした自学自習こそ京都大学の伝統-----自学自習に加えてコミュニケーションが大切とおっしゃる。今の学生がもっとも苦手なことなのでは? ICT(Information and Communication Technology)社会の中で学生たちは人に接しなくても、あるいは本を読まなくても、情報を得ることができます。だから図書館にこもる学生も少なくなりました。人と話をする機会もそれほど重要視されてない。だからこそ我々がその機会をもっと作らなければなりません。 例えば、講義は知識を得るための場所ではなく、研究者の考えを聴く場所である。講義をする側がそのように心がけています。また、アクティブラーニングという会話型の授業をすぐに導入するのは難しくても、先生たちが対話できる時間をシラバスに書いて、講義の後に質問にやってくる学生に対して、積極的に答えるようにしています。学生たちが講義の中で面白い、あるいはおかしいと思ったことを聞くことができるオフィスアワーを設けています。-----すぐに成果に結びつく研究が求められている時代に、大学の研究姿勢とはどうあるべきなのでしょうか。 京都大学のノーベル賞受賞の内容を見ると、生理学・医学賞、物理対話の大切さを知り、未来を洞察する力を育む また、1200年の歴史をもつ京都では、キャンパスを出た学生は町で多くのものに出会います。遺跡、現在も実際に機能している神社仏閣、ファッションや建築、古文書、工芸、職人技、さまざまな物や人と出会って、対話を積む。この経験が日常的にできる古都であることも、京都大学で学ぶメリットと言えるでしょう。初代総長・木下廣次先生の銅像。国の登録有形文化財である尊攘堂。24

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