ikueinews vol76
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教員の方を囲んで「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」というミュージカル作品の一節を歌ったのですが、始まった瞬間、その教員の方も、離れたところから見ていた私までもが号泣してしまいました。どうして涙が出たのか、説明せよと言われても分からないのですが、これこそが「ミュージカルは感情に訴える。ロジックではない」ということなんだと感じました。 ミュージカルのワークショップとはいえ、急に一人で前で歌わされたらどうしよう、などと皆がどこかで恐れていたことは行われませんでした。主にはグループワークで、ペアを組んでお互いの体を揺らしたり(「水を揺らす」と呼ばれていました)、「いいねぇ!」という言葉をどんどんテンションを上げながら掛け合ったり、相手と同じ動きをすることで同調性を高めたり。また、グループ全体で一人ずつランダムな順番で発声がかぶらずに21まで数えられるか、といった内容でした。不思議なもので、こういう共同作業が進むほど皆、動きと声が大きくなっていき、それこそまさにお互い感情をあらわにして感じたままに身体表現をしている結果なのでした。グループ内で誰か一人発表する人を決める際も「生命線が一番長い人」というまたひと盛り上がりする決め方で、こういったワークショップを盛り上げる練られたテクニックには目から鱗でした。 心で感じることの大切さを知る 個人的に、休憩時間中に劇団員の井田安寿さんがお話してくださった「最後に邪魔をするのは自意識」というお言葉が大変印象的でした。相手の感情を動かして喜んでもらおうとする時に、自分とどう向き合うべきか、お笑い芸人としての自分の課題でもあったので、大切で本質的なことを確認できた気がします。 「肝心なものは目には見えない。心で見なくちゃ物事はよく分からないんだ」。音楽座ミュージカルさんが上演される「リトルプリンス」の劇中で出てくるセリフです。大切なものは目には見えないし、理屈で分かることでもない。本来人間は心で感じることや感覚が全てです。それなのに、大人になればなるほど感情を殺して頭で考えてしまいます。ワークショップは全体を通して、緊張をほぐして、殻を破って、相手と同調して、巻き込んで巻き込まれてという、身体スイッチを頭から心へ切り替えていくプロセスでした。初対面の大人同士が体を動かし合うので、気持ち的に乗り切れずに終わることもあるのかもと危惧していましたが、最後には参加者全員が大きな円になって歌を歌い上げ、まるで全員でミュージカルを創り上げたかのような大きな感動に包まれていました。そして最初はあれだけよそよそしかった大人たちが仲良くなって笑顔で名刺交換をし合っていました。こういう心の交流を4時間でいわば人工的に生み出す劇団員の皆さまにアッパレです。 大変貴重な経験をさせていただき、音楽座ミュージカルの皆さま、ワークショップでご一緒させていただいた教員の方々にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。ソラプレワークショップ 201622

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