ikueinews vol76
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 最後に今回のフォーラムを振り返って、学びとしていきたいと思います。まずは、フォーラム前日に行われたプレワークショップから振り返っていきます。プレワークショップ内で、音楽座ミュージカルの藤田さんは、「自分の殻を破る」、「声を出す」、「活動する」、そして「アホになる」と盛んにおっしゃっていました。後先のことや、恥などの色々な感情を全て捨てて場に溶け込んでいくというこの体験が、意図的に自分でコントロールできるようになったときに、教員は学生の力を引き出せる、良い授業ができるのだろうと感じました。 そして、「経験で終わるな、メタに上がれ!」と題して、本日開催された大学生研究フォーラム。事例報告でご登壇いただいた京都大学の須田先生、明和先生にはいつも刺激を受けております。理論だけではなくて、実際にフィールドに出て行ったり、ものを作ったりして学ぶ。その後、その経験について分析や議論、報告をすることで、他の学生や教員の厳しい質問によって鍛えられていく。ご両人の報告からは、そういった流れの大切さを学びました。 そして、企業の立場からお話いただいた、昭和電工の安藤さんと、大阪ガスの松本さんの報告はとても勉強になりました。企業では、実践知をつけていく経験をさせながら、最終的に自分のものにしていかなければ、仕事ができる人材とはなりません。歳を重ねる中で、安藤さんの「経験学習ノート」、松本さんの「リフレーム」のような機会を作って、自分の質を上げていくことは、研究者や公務員にも必要だと感じました。理論と現場・実践、そしてそれらをつなぐエビデンスの重要性を感じた報告だったと思います。 私たち教員は懸命に学生たちを教育していますが、そこで学ばれたものが、企業で直接役立つわけではありません。あくまで基礎の部分です。しかし、これからも、その基礎について私たちは大真面目に取り組んでいかなければならないと思いました。 2008年にスタートしたフォーラムも今年で9回目。フォーラムを始めた頃は、キャリアと学業の架け橋など作れるわけがないと言われていました。大学生の姿がデータを通して明らかにされても、実践につなげることなど不可能であると見えました。それが、現在はアクティブラーニングをはじめとして、キャリア教育がトランジション改革の一つとしても集大成し、このフォーラムが架け橋作りに少しは貢献してきたのではないかと感じるようになりました。 数々の困難を乗り越えてきたこの大学生研究フォーラムですが、来年の第10回をもって最後となります。最後を締めくくるに相応しい会をつくりますので、是非来年もご参加ください。大学生研究フォーラムを終えて総括講演京都大学 高等教育研究開発推進センター 教授  溝上 慎一大学生研究フォーラム 201618

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