ikueinews vol76
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回路、電磁気学、半導体物理学、情報理論などの基礎理論をしっかりと身に付けた上で、それを活用して「創造」する学問です。複雑で難解な物理法則がたくさんあります。意味は分からないけれど方程式で機械的に計算はできる、という理解ではなく、さきほどのキャッチボールにおける運動方程式のようなレベルの「感覚化」まで到達することが、「創造的」な技術者・研究者になるためには欠かせません。 「感覚化」を身に付ける方法としては、実験や理論計算の前に、どのような結果が得られるのかを、まずは頭だけを使ってじっくり考え、予測することが大切です。その後、実験結果や方程式を使って得た結果が、自分の予測と合っているかどうかを確認します。もし違っていれば、どのような理由で違ったのかよく吟味して納得、補正する。それを繰り返すことで、徐々に「感覚化」の力は養われます。この「感覚化」は、今回の話題のメタ認知といえるのではないかと思います。 工学におけるクリエイティブな 体験をさせる 「エレクトロニクスサマーキャンプ」 授業で基礎理論を教えていると、多くの学生たちから「面白くない」、「何のためにやっているか分からない」という声が聞こえてきます。基礎理論は「面白い」こと、つまり研究開発に取り組むための土台なのですが、学生たちはその必要性を実感できていないのです。 そこで、私たちが平成21年度から始めた取り組みが、「エレクトロニクスサマーキャンプ」です。これは工学部電気電子工学科の1回生から3回生を対象にした、課題解決型の課外活動です。夏休みの3日間を使い、最初の2日間で提示された課題に、グループもしくは個人で取り組みます。そして最終日には、発表会あるいは競技会で、互いの成果を披露し合います。 学生たちはこのキャンプで、絶対的な正解のない課題に対し、自分の持つ知識・理論を総動員して創意工夫・試行錯誤を繰り返します。基礎理論(プログラミング、電子回路、制御工学)が開発の現場でいかに重要なのかを体感することができます。そして、基礎の大切さを体感すると同時に、工学におけるクリエイティブな思考を楽しみながら身に付けることができるのです。 この取り組みは7年目を迎え、今ではこのキャンプを経て大学院に進学した学生たちが、TA(ティーチング・アシスタント)としてキャンプの運営に携わるようになりました。その研究室で最先端の研究に従事しているTAたちが、学生に対して研究への想いを語ることも、学生の意識を変える一つの要素となっています。 私たちはこうした教育への取り組みを通して、世界で活躍する創造的な研究者・技術者の育成に、今後とも尽力していきたいと思います。サマーキャンプのテーマレゴマインドストームで競技ロボットを作る設定されたロボット競技に出場するロボットを設計・製作チームで取り組み、優勝を目指す。1回生ワンチップマイコンで音の出る何かを作るアナログ・デジタル機能を持つワンチップマイコンで音の出る物を作る。ゲーム、音楽など何でもOK。発表会では参加者全員でスコアをつけて受賞者を決める。2回生飛行船の自動制御で競技自動制御飛行船競技に出場する。自動制御システムを設計してチューニング。3回生大学生研究フォーラム 201610

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