ikueinews vol76
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モニターし、コントロールするのがメタ認知です。 この批判的思考こそが、持っている知識をつないで最終的に行動決定・問題解決に結びつけるという、大学教育やビジネスの世界で求められるプロセスを含んだ思考だと思います。 メタ認知だけではなく、批判的思考を踏まえてこそ、私たちは経験から実践知を得ることができます。つまり、「メタに上がれ!」というのは、単なる経験を越えて一般知を得よということだけではなく、「批判的思考力を身につけよ」ということまで含まれていると私は考えます。 メタに上がることで、自らの体験や経験を実践知、ひいては持論へと発展させることも重要です。自己に対する狭義の持論から、他者や集団に対する広義の持論へ、そして抽象化してより一般的な持論へと昇華していくことで、自己の経験は自分だけで終わらず、大きな広がりを見せていきます。 講義が血肉となっていない 教育現場 体験(行動・活動)し、自己に影響を及ぼす経験をし、実践知をつけ、持論へ発展させる、という「メタに上がる」流れを、大学教育に当てはめていきます。大学において体験は、講義やゼミ・演習、卒業研究などの正課教育と、サークルやアルバイトなどの正課外活動があります。体験を思い返したとき、自分の糧になっていると感じるものは、正課教育では卒業研究や演習。正課外活動では多くの人がサークルやアルバイトで頑張り、自己に影響のある経験をしていることが多いです。 私が問題に感じているのは、ここに講義が入っていないことです。演習などは知識をアウトプットする場。知識をインプットする場である講義が、自分の血肉になっていないのに、演習やゼミで扱われている知識は本当に講義で培われたものなのか。講義というインプットの場と、演習などのアウトプットの場が効果的につながっているのかということは、大学教育の現場では大きな問題になっています。 メタに上がるために これからの大学教育の課題 では、これからの大学教育はどうシフトしていくべきでしょうか。大きな問題は正課教育ですが、そのうちの卒業研究は現状でもきちんと力になっている体験で、維持すべきだといえます。最も目を向けるべきなのは、その研究までに学ぶ3年間の講義科目や演習科目です。大学教育においても、実践知につなげるプロセスをつくるために、経験を組み込んだ「アクティブラーニング型授業」への転換が必要だと思います。 さまざまな人間がいる集団の中で議論をし、一つの理解に持っていくというのが現在のアクティブラーニング。講義一辺倒をやめて、議論や発表などを入れるだけではなく、頭の中の知識や実証を組み立てて、ストーリー化して集団の中で表現させることが大切になります。 知識は抽象化・概念化されてきましたが、実社会や実生活の中で活用できてこその知識です。一般的な知識を学習しながら、個人の経験の世界にどんどんつなげて、頭の中の知識を構成・再構成していくということが、深い学びにつながります。そして、メタに上がれる学生を育てることができるのです。大学生研究フォーラム 20168

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