IKUEI NEWS vol72
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-----校名に「商科」を掲げる唯一の国立大学、その特長を教えてください。 小樽商科大学の特長として挙げられるのは、実学志向の教育です。これは前身の高等商業学校時代から続いており、昔から実務に役立つ知識を教えることを重視していました。変化する実社会に合わせた実用的な教育を続けてきたことが、本学の魅力の一つでしょう。 もう一つは、いわゆる「リベラルアーツ」的な教育です。商科大学というと、経営やビジネス一辺倒の教育をしていると思われがちですが、本学はそうではありません。「そろばんができるだけの産業人の輩出は意味がない」という渡邊龍聖初代校長の考えのもと、「語学」と「品格」という、世界で通用する感覚を身につけるため、語学教育と教養教育に重点を置いて教育を行ってきました。現在でもその精神と教育体制はしっかりと受け継がれています。特に語学教育においては、全学生数が約2400名と小規模にも関わらず、語学系の教員数が約20人と多くを擁し、日本語を含めて8カ国語を教える体制が整っています。 商学系にとらわれず幅広いリベラルアーツ教育をしていることは、学生が入学してから自分のやりたいことを見つけ、その道へ進むことができるという、多様な可能性を提供しているといえます。商科の単科大学でありながら、実際に英語の教師や弁護士の道を進む学生も出ています。このような、学生にとって「融通が効く」仕組みは、私たちの教育の大きな強みです。 本学の教育コンセプトは、「T型人材の育成」。T型人材は、特定の分野における深い知識・能力(Tの縦軸)と、幅広い知識を使いこなす能力(Tの横軸)を兼ね備えた人材です。自分の主専攻に加えて、語学や主専攻以外の幅広い知識を身に付け、それらを複合的に使いこなす能力をつけた人材を育てることを目標としています。伝統のリベラルアーツで「語学」と「品格」をまず身に付ける-----現在進行中の3つの戦略プロジェクトについてご紹介ください。また、その進捗状況はいかがですか。 学長就任から2年が経ち、現在は3つの戦略を掲げて全学的に計画を進めています。その戦略とは、「新たな教育課程を構築してグローカル人材を育成する」「ビジネス開発プラットフォームの構築による北海道経済の活性化」「アクティブラーニングの拠点となり、新たな教育方法を普及・展開する」という3つです。この計画は文部科学省から高く評価されましたが、問題はしっかり実行できるかどうか。今、この3つの戦略を達成すべく、着々とその運用を進めており、滑り出しは順調と言えます。 特に尽力しているのは、グローカル人材の育成です。グローカル人材とは、グローバル(地球規模)な視野を持ち、ローカル(地域や国)の視点で考え行動できる人材で、自分の居住する場所や立場をベースとして、グローバル社会への対応ができる人間だと考えています。学生は卒業後どこへ出ていってもよいのです。自分の生きていく土地で、グローカルな能力や態度を持つことが重要だと思っています。既にスタートしている取り組みの中でも、「グローカルマネジメント副専攻プログラム」には力を入れています。これは、地域でのPBL※授業、全編英語による経済・マネジメント系講義、海外留学などを組み合わせて、グローカル人材を育成するためのプログラムです。留学には返還不要の奨学金を用意するなどの工夫をして、学生の参加を促しています。このプログラムをうまく機能させることが、いま最大の課題であると思っています。※Project / Problem Based Learningの略で、プロジェクト型/課題解決型実践学習のこと。自分の生きる場所でグローカルさを発揮する大学会館の前で、よさこいソーランの練習に勤しむ学生たち。「実学・語学・品格」を掲げた渡邊龍聖初代校長の記念碑。32

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