IKUEI NEWS vol72
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の体のいい言い訳かもしれないという意見もある。ニューヨーク大学の社会学教授で、最近「男性時代の終わり」という本を出版したハナ・ロージンだ。経済不況、就職難、学生ローンのプレッシャーなどで、精神的に長期計画の立てられない男子大学生たちにとっては、フックアップ・カルチャーは必要にして不可欠なサブカルチャーだという。フックアップの対象になる女性たちは、経済水準も、教育程度も、男性より高い。例えば、子供のいない若い女性の平均収入は、男性より高い。また、教育程度も全体的に女性の方が高い。事実、米国の大学生は、その56%が女性によって占められている。こういった状況の中では、つまり、フックアップの相手は、男性よりいろいろな意味で自分たちより優位なポジションにある女性たちだ。「〝デート〞は古臭い習慣。男性本位の文化に根ざしたものだ、フックアップこそが新しいライフスタイルにマッチするサブカルチャーだと、男性たちは自分を納得させ、それを唯一のオプションにしているのではないか」と、本書の中で書いている。デートは死んではいない だが、本当にそうか? 今年の2月、22の大学の学生2万4千人を対象に行われた調査は、死んでしまったと思われた〝デート〞が、静かに、そして確実に大学生の間に存在していることを告げていた。調査のタイトルは「デートは死んではいなかった:大学におけるフッキング・アップ、デーティング、そしてロマンチック・リレーションシップ」。調査はノース・カロライナ州立大学の社会学の助教授アリエル・クーパーバーグが行ったもので、「いくつかの迷信が事実でなかったことを証明できた」と、最近のNBCニュースで語っている。例えば、「フックアップ・カルチャーがキャンパスにおけるデーティングを崩壊させた」と言われているが、実際には、62%の学生がフックアップを行っている一方、61%の学生が伝統的なデートを行っている。伝統的なデートも、異性とのロマンチックな関係も経験したことのない学生はたった8%。 また、「フックアップの実行者は、長期のリレーションシップに興味がない」というもう一つの迷信があるが、これも誤解であると、クーパーバーグ女史は言う。調査では、61%の女性が、そして驚くなかれ、71%の男性が長期のロマンチックなリレーションシップを持てるチャンスが欲しいと述べていた。 もう一つ、フックアップ・カルチャーに明るい光を与えるのは、フックアップはただの〝ワンナイト・スタンド〞(一夜だけの関係)ではなく、フックアップから長期の関係が生まれることが多いという事実である。ヴァージニア大学が行った「全米結婚予測」なる調査では、32%の結婚は、フックアップから始まっていると報告している。 つい4分の1世紀前まで、米国の女性が大学に行く重要な理由は、未来の伴侶を見つけることであった。今では、結婚の相手を探すために大学に行く女性はマイノリティだろう。2011年のピュー・リサーチの調査によると、米国人の結婚の平均年齢は女性が27才、男性が29才。結婚は大学を卒業して数年後に起っている。とはいえ、フェイスブック・データ・サイエンスによると、大学卒のカップルの28%が、同じ大学の卒業生だという。 二人の娘を遠く離れたテキサスとミシガンの大学に送っているリチャードとジュリー・アモンは、「フックアップ・カルチャーのこと、耳をふさぎたい気持ちです。私たちの目の届かないところで、娘たちがフックアップをしていると思うと、夜もおちおち眠れません」と嘆く。 フックアップ・カルチャーが米国のキャンパスに蔓延しているのは事実である。だがこの新しいサブカルチャーに多くの大人(親たち)が強い関心と驚きを示したことが、メディアに大きく取り上げられ、いまセンセーショナルに報道されている。「習慣やサブカルチャーは変わっても、人間、そうすぐに変わるものではありません。結婚の年がくれば、フックアップ・カルチャーはおのずと私たちの中から消えていくでしょう」とは、マディソン・アベニューのご意見番と言われるシンディ・ギャロップの言。この言葉にホッとする親は多いだろう。29

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