IKUEI NEWS vol72
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彼女の著書「セックスの終わり」の副題は、「フックアップ・カルチャーがミレニアルを性的に不幸に、不満足にし、異性との親密な関係を作れない人間に育てる」。 「キャンパスにおけるデーティングからフッキング・アップへの移行」なる論文を書いたK・A・ボーグル博士の調査を含むいくつかのリサーチには、フックアップを経験した学生たちのほとんどが、後にその経験を後悔していると報告している。あるレポートでは、その数は77%にのぼると報告している。性別差があり、女性の方が男性より後悔する場合が多く、例えば832人の大学生を対象に行った調査では、女性の49%、男性の26%が、ネガティブな感情を経験したと報告している。だが、同時に、26%の女性、50%の男性がフックアップの経験に、ポジティブな感情を持ったとも報告している。ベイラー大学の社会学教授ジェロミー・ウーカーとブランドン・マーティネス博士の「フックアップに関する性別の違い」というレポートでは、女性の方が男性より後悔する率が大きいのは、女性がリレーションシップ、フックアップに対して男性とは違った考えを持っているからだろうと推測している。 フックアップ・カルチャーが、ある意味では、経済的にも、心理的にも 〝デート〞を避けたい男性側でそういった相手に関する初期の調査は難なく行える。デートをしてそれを探りだす必要がなくなった」と言う。 経済的、心理的な余裕の無さも、デートの習慣にブレーキをかけている。長引く経済的不況、積み重なる授業料の負債、活発でない就職状況などが、学生たちに長期的なリレーションシップを避けさせる。「一回しか会わないかもしれない相手にディナー? そんな余裕はないね」と、ニューヨーク大学で映画を勉強しているトム・ワイスは言う。 こういったさまざまな理由で学園から〝デート〞の習慣が消えた。そしてそれに代わって、〝フックアップ〞と呼ばれる新しいサブカルチャーが誕生している。キャンパスに蔓延する「フックアップ・カルチャー」 オンライン辞書ウィキペディアによると、米国の大学生の90%は、自分の大学には〝フックアップ・カルチャー〞が蔓延していると述べている。ニューヨークタイムズ紙は〝フックアップ〞とは、将来的な約束の無い、短期的な肉体関係だと定義している。 フックアップがこれほどまでにキャンパスに蔓延している理由は、学生対象のオンライン・デート・サービスが台頭しているからだとUSA Today紙は言う。それぞれの学生が、少なくとも数種類のオンライン・デート・サービスを毎日使っている。「デジタル・ネイティブであるミレニアルが、テクノロジーをデートのような個人的なニーズにも適応するのは、ごく自然の成り行き」と、カリフォルニア大学で社会学を勉強している大学院生ジェシカ・カービノは、同校の大学新聞デイリー・ブルーイン紙に語っている。 リサ・リドリーは、両親のようなロマンスのチャンスがないことを寂しいとは言うものの、「大学に入る第一の目的は専門の知識を身につけ、よい就職先を見つけること。異性とのロマンチックな、長期にわたる関係は、学業に集中することを妨げる」と、割り切っている。彼女は、フックアップも時間の無駄だとして、参加していない。議論されるフックアップ・カルチャーの是非 若者のフックアップ・カルチャーには、さまざまな批判、コメント、社会的影響などが学者や社会評論家、教育者などの間で行なわれている。賛否両論入り混じってはいるが、どちらかと言うと反対派が多く、その多くが、心理学者ドナ・フリータスの以下のような意見に集約されているようだ。「大学生時代の遊びとしてフックアップを楽しむのは良しとしても、結婚や家庭を持つための人間的成長がないまま、社会人になる人口が増えるのは、社会的にも決して好ましいことではない。フックアップしか性的満足を知らない男女は、後に愛を土台にしたリレーションシップを作ることが不可能になる」と言う。ちなみに、28

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