IKUEI NEWS vol72
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アル(18才から34才)と呼ばれる世代全体に起こっている現象だ」と、ピュー・リサーチ財団の調査も報告している。 〝デート〞の習慣が消えた背景には、いくつもの現代的な理由が潜んでいる。あるリレーションシップ専門家は、その理由を〝テクノロジー〞だという。ミレニアル、特に大学生たちのコミュニケーションは、スマホで行うテキストメッセージやeメール、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどを通して行う短いメッセージが主だ。こういったコミュニケーションでは、昔のように、電話でデートを誘い、相手の声の調子からその誘いが受け入れられるかどうかを察したり、断りの理由が本当なのかどうかを憶測したり、断られた時のショックを経験したりといった、心理的機微を経験しない。「ミレニアルたちは、デートに必要な体験、経験、人間としての成長のチャンスを持たずに育ってきている。彼らにとって〝デート〞は、面倒な習慣以外のなにものでもない」と、ボストン大学で宗教とジェンダーを教えている心理学者ドナ・フリータスは、その著書『セックスの終わり』の中で語っている。消えていく〝デート〞の習慣 コネチカット州立大学で心理学を勉強しているリサ・リドリー(21才、仮名)は、母から聞いた父とのロマンスを思い出す。同じ大学の学生だった二人は、4年生の時出会い、一年にわたるデートを繰り返した後、卒業と同時に結婚した。父はデートの時、必ず母を寮まで迎えにいき、ディナーや映画でデートを楽しんだ後、母をまた寮まで送っていったという。リサにとって、こんな話はまるでおとぎ話の中のプリンスとプリンセスのロマンスのような、違った世界の話に思われる。現代の男女の付き合いには、こんな礼儀作法は皆無だ。時には指定された、込み合ったバーで会い、ディナーも映画もなく、ビールやクラッカーでお腹を膨らませた後、ただ何となく2〜3時間をバーで〝ハングアウト〞(ぶらぶらして過ごすことなど)して過ごす。「両親の〝デート〞とは大分違うライフスタイルです」とリサは苦笑する。 リサが言うように、アメリカのキャンパスから伝統的なデートの習慣が消えつつある。「大学生だけでなく、ミレニ テクノロジーは、〝ファースト・デート〞の必要を消却したとも、ニューヨーク大学でコンピューター・サイエンスを勉強しているビル・クランシー(24才)は言う。「最初のデートの目的は、相手の趣味嗜好、共通点などを聞き出し、デートの相手として適当かどうかを決めるためのものだ。いまではフェイスブックやリンクトインなどのソーシャルメディア楓 セビルアメリカン・キャンパス・ライフ 米国大学生の〝ロマンス〞はどこに?青山学院大学英米文学部卒。電通入社後、クリエーティブ局を経て1968年に円満退社しニューヨークに移住。以来、アメリカの広告界、トレンドなどに関する論評を各種の雑誌、新聞に寄稿。著書として『ザ・セリング・オブ・アメリカ』(日経出版刊)、『普通のアメリカ人』(研究社刊)など。翻訳には『アメリカ広告事情』(ジョン・オトゥール著)、『アメリカの心』(共訳)など多数あり。『日経マーケティング・ジャーナル』、『ブレーン』、『消費と生活』、『AD・STUDIES』、『日経広告研究所報』などに連載中。※写真は全て、本文とは関係のないイメージです(Photo by Shutterstock)。27

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