IKUEI NEWS vol72
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「自由恋愛」を志向する男女が増え、1960年代に「恋愛結婚」と「見合い結婚」の数は拮抗し、その後「恋愛結婚」の方が多くなっていきます。 しかし、初婚年齢のグラフの不自然な形から見て取れるように、恋愛志向が強くなっても、「結婚適齢期」を重視する価値観の方が勝っていたであろうということです。特に、経済的自立が難しかった女性に「婚期を逃さないよう」強いプレッシャーがかかったのです。そのような時代には、「見合い」という結婚への手段は重要でした。見合い結婚の変化 1980年代頃から、若者を中心に「結婚は個人の自由である」という考え方が強まり、夫婦の愛情が重視される時代になって、「見合い」も変化していきました。 「見合い」は、結婚を前提とした「男女の出会いの場」として設定されるようになったのです。双方の「結婚条件」に合った男女が出会い、同意すれば交際を始め、恋愛感情が芽生えた後に結婚を決定するようになったのです。ですから、きっかけは「見合い」でも当事者にとっては結果として「恋愛結婚」と同じであることが多いのです。とはいえ、結婚動機は夫婦によって様々ですから、例外もあることでしょう。 実は、「恋愛結婚」についても同じことが言えます。恋愛感情のみでは、結婚に至らないことが多いのです。二人の関係が恋愛から始まったとしても、結婚に至るには、その時の双方の「結婚条件」をクリアしなければなりません。 このような見方をすると、「恋愛」と「見合い」は結婚に至るプロセスは異なりますが、実質的に中身の差がなくなって来ていると言えます。今や「恋愛」VS「見合い」という二分法的な枠組みで結婚を捉えようとすることが実態に合っていないのです。「平成の結婚難」の時代に バブル経済の崩壊後、若者の雇用情勢が厳しくなるのと連動して、結婚したくても結婚できない若者が増加しました。そして、社会人として充分な収入があっても、仕事が忙し過ぎて、結婚相手を探す時間的ゆとりがないという若者も増えています。「自然な出会い」による「恋愛結婚」を望んでいても、適当な相手に巡り合えないという「結婚難」の状況が深刻化しているのです。 昔は、本人が結婚に向けて行動しない場合は、周囲が縁談を準備し決めさせてくれる(もしくは決めさせられた)ものでしたが、現在、そのような結婚を望む若者はほとんどいないでしょう。そして、「おせっかい」を嫌う若者の気持ちに配慮して、結婚相手を紹介する人が少なくなったことが、皮肉なことに、ますます出会いの機会を減少させてしまったのです。 近年、人口減少に歯止めをかけるために、若者に対する結婚支援策が講じられています。結婚を望む人が結婚できるよう経済的・社会的環境が改善されていくことが期待されます。しかし、先走って社会の「結婚期待」ばかりが高まっていく可能性もあります。皆さんには、決して時代の「空気」に流されないで、結婚という人生における重要な決定について主体的な判断をして頂きたいと思います。小澤 千穂子(おざわ ちほこ)1960年生まれ。お茶の水女子大学・同大学院修了。専門は家族社会学。1997年、大妻女子大学専任講師。2011年より現職。2012年NPO法人全国地域結婚支援センター理事。2014年富山県「人口減少対策検討チーム」アドバイザー。2015年公益財団法人いきいき岩手支援財団「結婚に係る調査研究事業」委員。著書に『『婚活』現象の社会学』山田昌弘編(2010、東洋経済新報社)、『新しい家族関係学』長津美代子・小澤千穂子編(2014、建帛社)など。20

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